第2話 隠れた実力者

私はチュラ


死去した魔界王シュラの妹よ


私にはどうしてもいけ好かない奴がいる


その名はブレーム


いけ好かない理由...それは私の勢力の女性を次々に自分に恋をさせては引き抜くをシールド シュラ時代からされているのだ


ブレームは基本、他人と関わるのを嫌う。だが、ブレームは大好きなシュラ兄に可愛がられる私が妬ましく、私への嫌がらせのためなら私の周りの者を奪ってくるのだ


シュラ兄が死去してからシュラ兄の跡継ぎを決める会議がシールド シュラの権力者達で開かれ、一番支持が高かったのが私だ


しかし、それに反対を示したのがブレームであった。


それからは、お互いにシールド シュラの者をスカウトしながら勢力を作り敵対した。


そんなある日、シールド シュラの崩壊を決定させる出来事が起きた...


私と共にシュラ兄に育てられた中立を示していた幹部


「リャク」の失踪である。


リャクのことは私は好きだった。だからこそスカウトもしていた。


考えてみたら前触れはあった。リャク派だった者が三十人程、私の部下になりたいと志願しに来て許可したのだ。


その時はリャクが私のところへ来るための前準備をしていると思い、大いに喜んだ。



私は急いで、追っ手を出した。


「オレンジ」


私を姉のように慕ってくれる少女で実力は私が幹部にしようと考えている程である。


だが、オレンジは近くの泥沼で全身泥に染まった屈辱的な状態で殺されていた。


犯人はすぐに分かった。何故なら、リャクの敵は残酷に殺す者など一人しか知らないから...


「ラミ」


間違いない、オレンジが殺されたということはまさか!?



嫌な予感は的中した


私の部下になりたいと志願したリャク派の全ての者が全員体をバラバラにされた状態で殺されていた...


「ラミ、あの野郎...」


私は知っていたのだ、ラミがリャク派の中でも唯一の過激派だと


知っていながら放置した結果、この様だ。


殺された者達、本当に申し訳ない。顔向け出来ないよ...



一年後、紫館と呼ばれる七ヶ月前から突然出来たらしい館にリャクとあの憎きラミの二人が住んでいることを突き止めた



そして今に至る...


憎きラミ、と言いたいのだが...好きな者のためになら自らの手を躊躇ちゅうちょしない


そんなラミに私は魅力を感じてしまったのだ。


だから、手に入れたら私の奴隷として私のものにしてやろうと思う。


それはもう屈辱的に...それなら死んだ部下達の弔いにもなるだろう



しかし、そのためには今目の前に立つリャクと戦い勝たなければいけない...


「リャクの実力は正直、把握しきってないけどそれはお互いに忙しかったから


なら、リャクも私の実力は把握しきれてないはずよ! いざ勝負!!」


「確かに...でもお互いに未知数ならフェアだ!」



魔界での戦い方


魔界では生まれた時に持った「魔力量」があり多ければ多いほど才能があると言える


しかし、増やす方法もある、それは「努力」である。


まぁ、増える速度はそれこそ才能のある者の方が早いが無いとされてた者が才能のある者に勝つケースも珍しくない


魔力量を使ってどう戦うか?


それはイメージしやすく言えば「あやとり」のような使い方をする


あやとりはなんてこと無い輪からイメージで色々な形に変えることが出来る


魔力も同じようなものでイメージであとはそのイメージを身体に慣らすことで自らの技に出来る


出来ることに限界があるかどうかは魔界内でも定かにはなっていないが今のところは魔力量より、使い方による強さが強さの基準となっている。



リャクとチュラはシュラの死去した魔界内、実力はトップクラスと言えるだろう


「はぁ!」


チュラは気合いを込めて叫ぶと、チュラの全身を黒色のオーラが包み込み、チュラの周りの空間に圧迫感が発生する。


「相変わらず、シュラ様には及ばないもののシュラ様と同じ血を継いでるだけあるな


強い魔力が溢れてやがる...」


「私の魔力は私の身体に収めきれないほど大きい...だから溢れる、勝てる?」


「僕は堂々と戦うのは苦手なんだ、頭脳でいかせてもらう!」



そう、リャクは元々争いを嫌う性格もあって戦い方も傷つける技は魔界内の実力者の中で一番少ないと噂される程なのだ。


だからこそ、先が読みにくく戦いづらい...


「チュラ、いくぞ!」


私はリャクの動きを整理しながら戦うことにした


「先手必勝!炸裂魔弾さくれつまだん


私は魔力を爆弾にしたものを目の前に浮かせるとそれをデコピンで弾く


「いきなり攻撃的だなぁ...弾流し」


まぁこんな初手で倒せるとは思っていない、でも避けるでもなく全ての手の指に魔力をまとい爆弾を指で撫でるように受け流されたのは予想外だ


「魔集」


来た、これは技と言うよりリャクが集中する合図である。


ここからは本気でやらないとやばい...リャクの戦い方は分からないがシュラ兄は言ってた


リャクは実力だけなら幹部で一番下だが、戦い方が特殊で常に考えている


故に、強者だと...



ここからは、魔界の中でも飛び抜けた二人の本気の戦いだ...


魔弾まだん


リャクがサッカーボールサイズの魔力の塊を創るとこっちに向かって放ってきた


「こんな直球、当たるとでも?」


そう言いながらも私は背後に魔力の壁を創る


何故って?リャクの読みが読めたから


「ドーン!!」


「流石はチュラ、これくらいじゃダメージは通らないか?」


「リャクの実力は認めてるから油断なんかしないわ」


そう、リャクの魔弾は私の目の前で突然出現した小さなブラックホールのようなものに吸い込まれ、私の背後に出現して背後で私の壁に相殺され爆発したのだ


おそらくあれは、ブラックホールじゃなくワープホールだと思う。


ワープホールとは二つのブラックホールと瓜二つの物体を吸い込むもの


しかし、ブラックホールは吸い込み壊すがワープホールは吸い込んだものを吐き出すことが出来る。


そして、ワープホールは実力次第では自由自在に移動させれる


「流石はリャク...」


私は心底怖い...こんな芸当は魔界でもリャクぐらいしか出来ないだろう


それだけ器用さがいる


「それは、降参って意味で良いかな?」


「私をなめないでくれる? 炸裂魔弾さくれつまだん


「ほいっと...」


...リャクは、手で自分の正面に魔力の柔らかい壁を作り、たやすく防ぐどころか柔らかいためトランポリンのように魔弾が返ってきた


「はぁっ!」


私は返ってきた魔弾を全て単純な魔力の強さで腕で弾き飛ばしたが、次の瞬間、私の背中に強烈なダメージが入る


「あがっ!?」


神出鬼没 幽撃しんしゅつきぼつ ゆうげき


リャクは、私の背後にいて全力の蹴りを食らわされた。


まさか、ワープホールで自分を飛ばすようなわざもあるっていうの!?



リャクと私は一度、距離をとる


全力の一撃だったのだろう...さっきの一撃はかなりダメージを入れられた。


ただ、勝ち筋も見えた


リャクは対応力が高すぎる、なら私の得意な戦法...考える時間も与えない猪突猛進を体力が尽きるまで繰り返すことである。


「はぁぁぁ!!」


私はリャクの反応できないスピードで距離を詰めるとリャクの脳天に全力の拳の一撃を放った


「.........」


ん?


「魔砲 エレキスパーク!!」


え?


「がはっ...ドサッ...」


何が起きたのか、私にも分からない。いつの間にか私の一撃をくらい立ったまま黙っていたリャクが上空にいて、でも、目の前にもリャクがいて...


上空からの大技をまともに受けてしまった、これは確実に言えることだ



はぁ...久しぶりに戦ったから体力が落ちてるね


リャクは余裕とは言えないが大丈夫そうだ


「まだやる? はぁ...はぁ...」



ようやく理解できた...


恐らく私が一撃をくらわせたリャクは魔力で作り上げた人形


それを囮にして上空に飛び上がり私が人形に注目してる隙に大技を放った。


「身体がしびれる、声も出にくい...ここは撤退した方が賢いわね...」


「この勝負、僕の勝ちで良いよね?」


「...けてない、負けてない! 敗けを認めない限り敗けにはならない!」


「チュラ、宣言してやるから広めてくれ」



リャクは息切れしながらも倒れている私に叫んだ


「僕とラミで新たな勢力を作る! この争いを終わらせることを目的とする中立組織 タイムリープを」



...面白いじゃない、リャクがこの魔界全体を巻き込んだ争いに参加してきた


「なら、これからは敵同士ね」


「いつか味方にしてやるさ」


「お望み通り、広めてあげるわ。また会いましょ?」


そして、私は残っていた魔力を使って空を飛び撤退した



なんとか、チュラを撃退したが実はギリギリだった。


チュラは強すぎる...だから、あの大技もいつもより魔力をこめたから疲れが凄く倒れこんでしまった。


「リャク様!? とりあえず、休みましょう!」


ラミは僕をおんぶして館の部屋のベッドまで送ってくれて僕は疲れからすぐに眠りについた



これからどうしようか...起きたら、中立組織「タイムリープ」の始動だね


こうしてリャクとチュラの戦いは幕を閉じ、魔界に新たな勢力ができたのであった。


魔界の争いを終わらせようとする中立的な組織が...





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