第13話いつもとちょっと違う日
僕は宇宙港に向かい。作業の準備を整えて外に出る。
僕にとって宇宙遊泳は考えをまとめる大切な時間になっていた。
命名ニライカナイコロニーは今日も不思議と問題なく動いていた。
そう、問題はない。
でっかい豚牛鳥がのしのし歩いていたりするのは少しだけ目を逸らしたくなるけれども、今日も僕は不思議と元気である。
「うん……むしろ充実してる」
しかしたぶんそれは砂の城のようなもので、今の状況はシュウマツさんありきのとても綱渡りな状態なのだろう。
「そもそも異世界とか、魔法とかってなんなんだろうね。いやわかるけど……」
余裕が生まれれば考える余地も出てくるわけだが、色々な意味でありえないと言うのが先に立つ。
シュウマツさんがとんでもない存在だということは、よくわかった。頼んだことは、条件がついても大抵実現できてしまうから、まさしく魔法としか僕の中では表現できないわけだが。納得できるかというとそれは別の問題である。
「全部夢だと言われた方が納得できる話だなぁ。まぁ、なる様にしかならないってところはあるのかな? 見捨てられたら死んじゃうだろうし」
少々やばいと思えることもあるが、シュウマツさんは友好的である。
どうせ救助は来ないだろうし、今は生きていることに感謝し、仲良くするのが僕の望みだった。
この先絶対にここに他の人が来ることはないだろう。それくらいここは少なくとも僕の常識の中では、人類の生存圏からあまりにも遠い。
「さて今日も頑張りますか!」
そうこう考えているうちに僕は今日の作業ポイントにやってくる。
―――ただ、毎日のようにゴミ拾いを続けていると思いもよらないものを見つけたりするものだが、今回は少し違っていた。
「……光ってる。救難信号?」
そんなバカなと僕は思った。
絶対に人は来ないなんて思ったから、こんなことになったのか。
僕が見つけたのは、救難信号を発している半壊したアウターだった。
僕の乗っている物よりもより人型に近い最新型である。
「こりゃひどい……派手に壊れてるな。まだ動いてるのが不思議なくらいだ」
一体何があったのかわからないが、回収しておくことにした僕は、スーツをけん引してコロニーへと戻った。
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