ラルの選択

(……僕の願いは? )

(動物と一緒に暮らす事。)

(そのために邪魔をしてきた人間は? )

になった。)

(上位種って何? )

 自問自答を繰り返し半刻。捨てるべき物は心か、あるいは進化か。

 翌日、膨大な魔力を放ちながらやってきた例の魔法使い。

 今まであのアホみたいな魔力の量を隠していたのか。

「決断を聞こう。」

「協力はしてやっても良い。しかし、上位種を作る上で使った人間の魂を外付けの異空間で保護できるなら、という条件だ。保護場所はこちらが指定する。」

 その言葉を聞くなり、彼は大声で笑った。

「なんだ、そんな事でいいのか! 」

「そして、俺の魔物に手を出さない事。」

「当然だ、受け入れよう。」

 その反応を聞いた途端、魔法陣が浮かび上がる。

「ついて来い」

 そこは、一面の白いブロックのような建物がずらりと立ち並ぶ。

「これは、なんだ? 」

唖然とする俺をせせら笑うように、答えた。

「何を言っているのかい? 元は僕がだぞ? 百年前だったけな、治安の悪いところに住んでいたから、盗みなんて日常茶飯事だったから、自分しか絶対に開けない金庫を作れば良いんだ、と思ってね。既存の魔法で全て完成したよ。」

間違いない。こいつは本物の人間の上位種だ。

「君がもし断れば、その時は、物質を崩壊させる魔法、錬金術とも呼ばれていたかな、その応用で存在を無かったことにする魔法を君にかけていたかもね」

恐怖心を覚えながら、一つ質問をする。

「こういうのは、この二人だけなのか? 」

「きみが作った二人を除いて、あと八人いる。 今から紹介しよう。」

こんな化け物があと八人もいるのか、と感じながら、彼についていくと、突然、扉が出現する。

「入るぞ」

拒否権はなさそうだ。


中にはその八人と思われる人が座っている。見るからに化け物感が溢れ出している。

「本当にこいつが俺らと同じ上位種なのか? 能力が圧倒的に劣っているように見えるが」

白い髪の性格の悪そうな少年が尋ねる。

「もともと上位種だった訳ではない。ある手順を踏んで、進化したパターンだ。」


この言葉を聞いた途端、空気が変わった。

「おい、ノア! どういうことだ! これはできないと判断したはずだ! 」

焦りを浮かべる八人。話についていけない。

「俺も最初はそう思った。しかし、習得が難しい異空間転移魔法を使えた時点で素質はあると思った。そして何よりこいつは上位種を二人作っている」

「待て、なぜそれが出来た? 」

「多分、俺がテイマーだからです。人間をテイムした、みたいな感じですかね」

彼らは驚くような、納得するような不思議な顔でこちらを見ている。

「では、我々の目的について話そうか。」

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