運命の下、空の果てまで
@mikoto3142
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私の父親は死んだ。私と義母を残して
死ぬ間際は酷かった。
優しかった父が全くの別人みたいで。
昼間から酒を飲み、言葉遣いも荒く、
酷い時には暴力すら振るうほどの勢いだった。
だからようやく死んで清々している___
「 何で泣いているの? 」
気がついた義母が声をかけてくる。
その声は、掠れている。
私の目から零れ落ちる涙も止まらない。
「 ちょっと目にゴミが入っちゃって....っ 」
苦し紛れの嘘だなんてわかってる。
ただ本当は認めたくないだけなんだ。
父が死んだことを。
「 無理しなくても良いのよ 」
「 深月さん...っ全然大丈夫ですよ..... 」
深月さんに自分の心情を知られたくなくて、
無理に笑う。
当然バレているけれどせめてもの悪足掻きだ。
「 大丈夫、私は分かってるから 」
違う。分かって欲しいんじゃない。
「 私ね、思ったの 」
少しの沈黙が降り、
その後深月さんの声が聞こえ耳を傾ける。
きっとお父さんの事についてだろう。
そう考えるとさっきよりも涙が溢れてくる。
「 ナオさん本当は優しいんじゃないかって 」
ナオさん、それはお父さんの名前だ。
優しいなんてとっくに分かりきってる。
それにきっと私が一番分かってる。
だから声を絞り出して深月さんに言う。
「 ....お父さんは優しいよ 」
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