第8話 中間考査結果で一波乱


 中間考査は、火曜日から金曜まで行われた。今回の考査は一学期末の時より手応えがあった。


 そして翌火曜日中間考査の順位表上位四十位までが発表された。美緒と一緒に学校に行き昇降口で上履きに履き替えてから階段横の掲示板を見た。


 見た理由は俺では無く、美緒が何位に入っているかというのが目的だ。美緒の顔を見ると驚いている。そんなに良かったのか?


「斗真がいる」

「俺はここに居るけど」

「違う。三十位に斗真がいる」

「えっ?!本当だ」


 手応えは有ったがまさかこの順位表に載るとは。一学期末考査では二百四十人中百十位中の中だ。それがいきなり上位に来るとは考査前勉強ってこんなに効果が有るのか。


「自分でも凄いや。美緒のお陰だな」

「ふふっ、そうでしょう。そうでしょう」

 やっぱり私が教えたからだよね。


「美緒は?あっ、十五位だ凄い」

 でも理央は五位。流石だ。


「ふふっ。さっ、教室に行こう」

 美緒のテンションが凄くなっている。


 俺は美緒と別れて教室に入ると理央と目が合った。微笑んだ後、彼女は視線を逸らせた。



 ふふっ、斗真の成績が四十位以内に入った。この学校は進学校。トップレベルでは無いけど、四十位以内なら有名私立を狙える。


 榊原さんも教えたでしょうけど、私の勉強も十分に役に立ったはず。早く皆に斗真と付き合っている事を公表して、邪魔な恋敵は退かしたい。


 私は、斗真と私しか知らない方法で斗真が偶々私を見た時、右側の髪の毛を耳の上に避けた。

 ふふっ、斗真が気付いた。後は放課後いつもの様にして会うだけ。



 お昼休みになりクラスの仲間と学食に行くと

「斗真、凄いじゃないか。いきなりだな」

「何の事だ?」

「中間考査の結果さ。三十位凄いじゃないか」

「ああ、ちょっと考査前に勉強したんだ」

「えっ、それであれかよ。前は百位にも入ってなかったろ」

「まあな」

「秘密兵器は榊原さんか?」

「あははっ、想像に任すよ」

「いいなあ、可愛くて頭が良くて、幼馴染かぁ、どっかのラノベだな」

 こうしておけば理央の事は分からない。



 放課後、俺は理央をチラッと見た後、急いで教室を出た。彼女も出る様だ。



 私、榊原美緒。今日斗真は図書室の担当ではない。だから一緒に帰って途中駅前のファミレスで話をするつもりでいた。


 目的は当然考査の結果の話だ。やればできるという事が分かった以上、これを維持させないといけない。


 だから、授業が終わり急いでBクラスに行くと斗真はいなかった。直ぐ側の子に


「ねえ、斗真は?」

「あっ、榊原さん。本田の奴だったらもう帰ったよ」

「そう」



 どうしたんだろう。何か用事が有るのかな?仕方ない。話は明日にして今日は帰るか。急ぐ訳でもないけど、昇降口で急いでローファーに履き替えると校舎の外に出た。


 斗真と一緒に帰りたかったな。駅に向かって一人で歩いていると遠くに斗真が見えた。小走りに斗真に近付こうとした時、


 えっ、白石さん。彼女が斗真に話しかけている。それもとても楽しそうに。私は少し駆け足になって追いつこうとしたけど、二人は改札の中に入ってしまった。


 私も急いで改札に入ると二人は家のある方向とは逆の電車のホームに向った。どうして?


 こうなったら今までの疑問をあの二人に聞いてやる。私もあの人達と同じホーム行って近付こうとしたところで電車が入って来た。

 二人はそのまま乗ったので私も車両を違えて乗った。何処に行く気なんだ。


 そのまま二人を見ながら乗っているとデパートのある街で降りた。私も一緒に降りると二人は駅の傍に有る有名なコーヒーショップ○〇バに入った。こうなったら仕方ない。


 私もそこに入って。えっいない。どうして?確かに入って行ったのに。もしかしたらあっちの出入り口から。急いでそこから出て周りを見たけどいなかった。




「榊原さん行ったわよ」

「良かった。あんなにバレバレの尾行していたら気が付くよ。取敢えず、今は良いけど。明日からどうするかな」

「あそこでゆっくり考えよ」

「そうだな」

 あれしながら考えられるのか?



 斗真と白石さんを見失った。でも二人が、この駅で降りて○〇バに入ったのは間違いない。あのお店は出入り口が二つある。

 もしかして尾行が気付かれたのかも。だとしても私から逃れる理由はない。やっぱりあの二人の間には何か有る。


 だからってどうすればいいの?あの人達を見失った今、家に帰るしかない。明日斗真に聞こうか。でも聞ける?


―――――


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