理由
気まずいオレは、窓の外をじっと眺めていた。
外に出たいのに出られない猫みたいに。
…ほんとは、外なんて興味なしだけど今はそうするしか他にない。
そして、そうこうしている間に莉央さんの足は軽いあざ程度で済んだということで治療終了。
まぁ、あざができるってことは結構痛かっただろうに。
でも、冷やしたら歩けるようになったみたいで、教室には歩いて帰れるということなので、三人で教室へと戻った。
…すると、クラスの男どもからの冷たい視線。
昨日まで誰かから視線を浴びるなんてことなかったのに…。
なんなら、オレの存在すら危うい状態だったのに…
…
それが急に、なんで美少女と付き合ってるのがおまえなんだよ⁉︎みたいな視線が半端なかった。
…確かにオレは奈留実には、不釣り合いなんじゃないかって思う。
まぁ、勉強はオレの方がかなり…いや相当上なんだが。
だって奈留実ってば…この前数学教えたとき…
ここを引いてからここをたすんだよって教えたら、はぁっ⁈そんなことしたらバチが当たるよ?とか言ってきたし…。
まぁ、でも勉強ができるからって学年一の美少女と付き合っていいわけじゃないからな…ってか‼︎
そもそもだよ⁇オレたち付き合ってないしーー…。
これからオレたちは、どうなってしまうのやら…。
なんて思っていた矢先、奈留実がオレの隣でいきなり躓いたからオレがとっさに支えた。
すると奈留実が、
「優しいね。ありがとう♡」
なんて言ってきた。
え…こわっ。
いつもそんなこと言わないくせに…。
なんだ?なんか変なこと企んでいるのか⁇
とりあえずその日は、奈留実に合わせたけどさ、やっぱり真相を確かめねばならないと奈留実の部屋へ訪問した。
「あー、道久…今日は合わせてくれてサンキュッ♡」
とオレを見るなり、軽いノリで言われてしまった。
…なんて軽いんだ。
人の、のんびりライフをはちゃめちゃにしておいて…。
と、思っていたらいきなりオレの手をガシッと握る奈留実。
「ウオッ…‼︎急に握ってくるから床からバケモンが出てきたかと思ったわ。」
とびっくりすると奈留実は、目をウルウルさせながら、
「ごめん…ごめんなさい。道久には、大迷惑だったよね?彼氏役なんか嫌だよね?」
と言われたんだけど…なんか訳ありか?と思って奈留実に、
「なんかあったの?」
と心配すると奈留実は…
「告白…、いろんな人から告白されてさ…断るのも結構キツいんだ。なんか…断ると、傷ついた顔するじゃん…。それに、また告白なんていいご身分ですね?どんな愛想振りまいて男たぶらかしてんの?とか女子から言われたりしてさ…」
と泣きだす奈留実。
…モテるって羨ましいばっかりじゃないんだな。
だから彼氏できちゃえばいいって思ったのか。
…
「でもっ…道久にこんなに迷惑かけるなんて思ってなくて…ごめんねっ」
と謝られた。
…
「いいよ。オレ彼氏役やるよ。奈留実に本当の彼氏できるまで付き合ってやるよ、だからもう泣くな。」
と励ますと奈留実は、
「…え、でも迷惑かけちゃうし…」
と申し訳なさそうな顔をしたけど、でもオレは奈留実が辛い方がいやだから、そんなことへっちゃらだと、笑ってやった。
そしたら奈留実が少し落ち着いた。
続く。
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