(三)-6
そしてしばらくすると、「横になれるところにいきましょう」とようやく気の利いたことを言ってきた。
そうして私は武西君に支えられて、駅の改札を抜けて地上に出た。地上に出ると、地下鉄の駅の入口前で突っ立った。そして彼は「うーん」と考え込んでいた。
私は「横になれる所って?」と小さく聞いてみた。現実に考えるとホテルしかない。しかもここは日本の金融街の真っ只中だ。ビジネスホテルならあるだろうが、変なラブホテルのようはものはないはずだ。
「あ、あそこにしましょう」
武西君は目につくところにあるビジネスホテルを指さして言った。
(続く)
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