第25話



 「ほう。霊界からの使者か。こんなところに魔術師がいるとは」


 「コイツ…。なんでこんな化け物が?」



 それはこっちが聞きたい。


 ゲートが不安定なせいで霊力をうまく注入できない。


 クルルは霊界に住む魔獣だが、使役した術師の霊力によって、地上で活動できる能力値が決まる。


 簡易的に開いた門じゃ、本来の力が出せなかった。


 「姿」もいつもの感じじゃない。


 ずいぶんと体が小さい。


 光沢のある赤色の毛並みは、普段通りだが。



 「ひゃわわわ…」



 ヒロは隣で尻もちをついてた。


 無理もないな。


 状況が逼迫しすぎてて、うまくフォローができない。


 とりあえず怪我はなさそうだ。


 コイツは、俺たちがなんとかするとして…



 ザシュッ



 カマは宙で弧を描き、空気を切り裂く。


 敵は一度刃を持ち上げた後、握っていた柄を持ち直した。


 クルッと一回転をさせ、膝を折り曲げる。


 その動きのまま、グッと沈み込んだ。


 地面に体重を乗せ、半身を捻る。


 左手を添え、大きな動作をつけた横からの斬撃。


 クルルは急ぎ防御の姿勢を取った。


 肘を畳み、下半身に力を入れ。


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