第6話 今晩までに『エネリスト』を!
息巻いていたヨルムにとって、、、誤算だったのは『エネリスト』は脳内で直接に竜から精神を関与されてしまうとヘミングから聞かされたことだった。
ーーじゃあ、、、今までのことは筒抜けではないか!!
そう、、、ヘミングに伝えて、、、『私の命懸けを理解してくれたかい?』と、逆に諫められてしまった。うぐう!と唸るヨルム、、、。なぜか妹は何かヘミングに感銘を受けたようだ。
「ありがとう、ヘミング。竜退治が終わったら伝えたいことができたわ。」
?。俺には陳腐感憤だった。
ーーそれより!リミットが迫っている!今晩だ、、、下弦の三日月だ!生贄に若い子を差し出すのは。黄金ぐらいならまだしも。命を守るのは竜相手でも人間として当然だと思うのがこの3人を結びつける決意だった。
『私以外のエネリストを集めよう、、、ここのリストに署名したのでここの本部に連れてきてくれ。私の名を出せば何もせずついてくるだろう。』
「あいよ!ガッテン承知!」
「私は街に行って、、、儀式の子達を集めてくるのを止めてくるわ。」
数時間後ーー。
『とうとう人間に絆されたか。ヘミングらしいチャらしいな。。』
『だからというて、、、わたくしたちが協力できるとでも???』
『いや、僕はわかるよ。今まであたまがぼんやりしていたけどさ。』
『うるせーんだよ!!俺は竜さまの血をいただいた選ばれし者なんだよ!雑魚は引っ込んでろよ!』
(いろいろいるんだな。)(まあ訳ありを集めて造られた存在ですので。)俺とヘミングはボソボソ呟き合う、、、。
『で?俺たちを集めてどうするのか教えてくれるのか?』
『あゝ。まずは質問。そのあと、、、反発するようなら、街から出て行ってもらう。』
ーーざわざわーー
野次馬は今回いない。『エネリスト』はそれだけ危険なのだ。人間の見目の美しい部分と中身の醜い部分がうまい具合に合わさると血が馴染むらしい。
『質問は二つ。人間を守ることができるか?もう一つは竜に逆らってみるか?の二つがある。まあそんな気遣いと勇気、、、私と違ってなさそうだけどな、、、。』
ーーーーーぱちんっと音が鳴った。
『質問になってねーぞ!?』
ーーーーーまたもやぱちんっと鳴る。
『ヨルム!!!』慌てたヘミングの声がかすかに聞こえた。こんな近くにいるのに!
ーーーえ?あ!耳から血が出ているじゃねーか?!
マナを入れ出しされたのだ。
「オレはーーダイジョーブだー!それよりこの荒くれ超人を止めろよ!?」大声になってしまう。くそっ。
『へへっと。ヘミング!人間の頃から気に食わなかったお前を殺せるとかいい気分だせ。おい!こいつの彼女を連れてこい!』『へへっとおら!可愛い顔を出して見せろよ!?』
ーー彼女?
一人の麻袋を被せられた女性が男エネリストの腕の中でうめいている。
麻袋を取ったら案の定、ローズだった。
(ごめん)妹のそんな泣きそうな顔今まで見たことなかった。
もちろん、隣にいる怒気度が高いヘミングの恐ろしい怒りの顔もだ。
『彼女から離れろ!汚い手で触るな!!』ヘミングの長髪が逆立ってマナが集結している様がわかった。
『へへっといい胸してるな、、、おっと触っちまった?!しかしながらいい思いしたいしな死ぬ前に。味わってから死ねばよかったぜ。。。』
ぎゅーーーーべちゃっ。実は最後まで言えず彼の死際の下品な台詞はオレの脳内憶測だ。
ヘミングもローズの胸触りたのか?まあでかい方だけど。のちの竜退治のお祭り後に妹に言ったら足を踏まれた。そういう問題じゃないから。って。
ーーーまたもやぱちんって音がしてみたら、、、血が塞がれていた。綺麗な金髪のオリーブグリーンの目をした女性『エネリスト』が血を止めてくれた上に応急処置してくれたらしい。耳が痛くなくなったし、聴こえるようになった。ありがとうと伝えたら、ほおを染めていた。
ーーやっぱり根は人間なんだな。俺が笑顔になると、彼女はますます、ごめんなさいました(ちょっと言葉使いが変な子だ。)。と囁いて、オレの頬に耳元にキスをした。
なんだよ照れ臭いと思ったら傷は完全に完治した。
『そういうマナの使い方もあるのだよ。よかったな。ありがとうシャレーゼさん。』
心を読んだようなタイミングで俺たちに向かって、、、穏やかになったのか、優しく述べるヘミング。いつのまにかローズを抱きしめていた。
『私はシャレーゼと言います。ヨルムさまのために一緒にとでも竜退治がしたいとです。お力になれれば嬉しい、、。。』
「ああ!ありがとう。助かるよ。」
俺たちの竜退治はいそいそと進んでいた。
竜が神官になんて命令してどうしているかつゆ知らず。
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