第3話 首無しカップル
「首無し鶏マイク」の話をご存知でしょうか?
これはアメリカで実際に起きた話で、斧で首を切断された鶏がその後、18か月間生き伸びたという前代未聞の珍事件。
つまり、条件が揃えば生き物は頭部を失ってもしばし生存することができる。
似たような話で有名なのが『首無しライダー』の都市伝説。
これもバイクでピアノ線に突っ込んでしまった暴走族がしばらくの間、首を切断した状態で道路を走行していたという怪談。
このように首を失った者が登場する噂にはバリエーションが多い。
その中でも特に印象深いのがこれから紹介する「首無しカップル」の話です。
どうして印象に残ってるかと言ますと、実はこの話、私の近所で起きた話なんです。
しかも、その目撃者の中に当時、私の同級生もいて、その子から直接聞いた話でもあるんです。
────事件は今から数年前。
とある交差点での出来事。
そこで車同士の衝突事故が起き、衝撃で折れ曲がった標識がたまたま通りかかったカップルに接触し、二人の頭部が勢いよく切断されてしまった。
事故の直後、友人は塾の帰りでたまたま現場付近を歩いていたそうなんですが、激しい衝突音の後、目の前から二組の人影が並んで歩いて来るのが見えたそうなんです。
しかし、よく見るとそれは首の無い男女が手を繋ぎながらこちらに向かって歩いて来ている。
驚いた友人が慌てて電柱の隅に隠れると、その首の無いカップルは平然と月夜の住宅街を歩いて行ったそうなんです。
今のは一体何だったんだろう?
友人はしばらくその場で動けずにいると、やがて救急車やパトカーのサイレン音が響いてきて、事故が起きたことを知ったそうです。
因みに、この首無しカップル。
他にも多数の目撃証言があり、あるサラリーマンは帰宅途中に偶然、通りかかった小さな公園のベンチに青白い街灯に照らされた首の無いカップルが座っているのを目撃したそうです。
最初はマネキンかと思い、近づいてみたところ、首の無い人間が楽しげにベタベタと寄り添っている。
驚いたサラリーマンは急いで警察に通報すると、駆け付けた警官がベンチの上でこと切れてる二人の首無し死体を発見したそうです。
しかも、驚くべきことにその死体は数分前に起きたあの事故の犠牲者のものだったんです。
この話は当時、私たちの学校でもかなり話題になり、しばらくの間、ずっとこの首無しカップルの話題で持ち切りでした。
噂によると頭部は事故現場の片隅に、寄り添うような形で二つ落ちていたんですって。了
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