うたた寝の記憶に絡まれて

朧田ハスキー

― ある日の、日 —

















 どこかに行かせて。



















 この人間世界で日々を暮せば暮らすほど、私は人間であるはずなのに積み重なる不明瞭なモノによって、錆びついたおもちゃのように段々と心と身体が止まっていく。



 なんか、自分が疲れ老いたような状態がして。



 だからか。

 知り合いに紹介してもらった別荘なるものに行くことにした。

 自分で自分に救いの手を伸ばそうとしたのだ。

 無意識で思ったとはいえ、その無意識に存在する私は相変わらず勘がいい。

 死に対して、寛容的でかつ洞察力と察知能力を兼ね備えている。



 そこに対しては万能な精神わたしだ。

 死なれては困るからな身体わたしがな。 

 そして、もしどちらか死なれてしまっては主人公わたしは死んだも同然。

 何も出来なくなる。

 これは最後の砦みたいなものだろうか。




 そうだ。

 いつからか、死に腐っているような気もする。

 無意識の中での死の存在は、自分の認識と境目が分からなくなるものだ。

 だからきっと、別荘に行くことで私は自分を生きながらえようとしている。

 生かそうとしている。

 いいことではあるのかもしれないけど、今の自分にとったら気に食わないことだ。



 だが、しょうがない。



 命は何モノにも代え難いのだ。何モノにも変えられないのだ。

 同じようにみんなに平等に一つだけ。

 背に腹は代えられないのと同じように、何かを犠牲にしてもこの命は手放さないようにと、そう精神わたしが言ってる。


 命だけはこの手に、と。

 所有している身体がそう言うんだから、仕方がない。しょうがない。

 だから、私は別荘に行くしかない。


 

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