第18話 微笑む程の愛おしさを
メアと別れた後、施設に向かう事なく町外れにあるアオイの家へと戻ってきたノエル。また両手いっぱいに夕御飯用の沢山の食材を持ち、玄関の扉を開けると、家の中から暗く重い雰囲気を感じ、足音を立てないようにゆっくりとリビングに向かうと、窓を見つめボーッとしていたアオイを見つけた
「まだ夕暮れなのに、なんで暗くしているの?」
窓から見える空は暗く夜になっていて、ノエルが家の明かりを付けた。急に視界が眩しくなって驚いたアオイがノエルのいる部屋の入り口の方に振り向いた
「あまり魔力を使わない方がいいよ。もしかしたら、もう使えなくなるかもしれないから」
「ご、ごめんなさい……」
ノエルの言葉にしょんぼりとうつ向き謝るアオイ。その後ろ姿を見てノエルが心配そうに少し首をかしげた
「なんでもないです……。ごめんなさい」
「謝る前に、まだ夕方だからもう少し外を明るくしてくれる?」
「あっ、これは私のじゃ……」
段々と小さくなっていくアオイの言葉に、ノエルがまた少し首をかしげると、アオイがノエルの様子をちらりと見て、すぐ目線をそらすように顔を背けた
「もうすぐ夜になるから、もうそのままでもいいけど、魔力の使いすぎには気を付けてよ」
「はい……」
ノエルがため息混じりに言うと、アオイは胸に手を当て少し顔をうつ向き小声で返事をした。それを聞いてまたノエルが、はぁ。とため息をつくと、持ってきた食材をキッチンへと運んだ
「……あのう」
食材をほとんど片付け終えた頃、キッチンの入り口で少し顔を出し片付けるノエルの様子を見ていたアオイが恐る恐る声をかけた
「魔力とか魔術はまだまだ強いですか?皆さんの様子にもう、力がないとか」
「別に影響があるから戻さなかったわけじゃないよ。そっちが暗い方なら良いならそうしているだけで……」
「私が、いえ。でも……たぶんその……」
返事の声が小さくなり、ガサガサと鳴る食材を入れていた袋の音に負けノエルにまで聞こえず、段々と入り口の壁でアオイの姿が隠れて見えなくなっていくのを首をかしげながらノエルが見ている。そんな二人の話し声をリビングの片隅にあるソファーから長く青い髪の女の子がクスクスと笑って聞いていた
「相変わらず優しいねぇ。その優しさのせいで私がまた魔術を使えるんだよ」
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