男嫌いな彼女と結婚を前提に付き合うことになりました!

刹那の紫苑

第1話 学年一美少女の氷麗

 ピッピッピッ…ピッピッピッ…ピッピッピッピッ、ピッピッピッ……バチンッ!


「う、う~ん……」


 三三七拍子のアラーム音を奏でる時計を煩わしそうな声を出しながら叩いて停止させる。

 そして再び眠ろうとして目を閉じた所でハッとしてガバッと起き上がり、アラーム音を停止させた時計を見る。

 そこに表示された時刻は……8時ジャスト。


「やっべ…! 急いで着替えて出ないと遅刻じゃん…!」


 慌てて掛け布団をぶっ飛ばしてから寝ていたベッドから立ち上がり、ハンガーラックに掛けていた学校指定のブレザーとズボンを身につけていく。

 無論、着替える前まで着ていたパジャマは帰ってから片付ければいいやとそこら辺にぶん投げて放置して。


 着替え終わってから前日に用意しておいた通学鞄を引っ掴み、自室から出てリビングへと向かう。

 キッチンに置いてある食パンが入った袋から1枚取り出して口に咥えた状態で玄関へと向かい、下駄箱から男女兼用の学校指定のローファーを取り出して履く。

 玄関扉を開けてマンションの廊下に出てから扉を閉じ、鍵を掛けて戸締りが出来たことを確認後、食パンを食べながらダッシュで5階から1階へと階段を駆け下りてから歩道へと出る。

 それでもスピードを落とすことなく食パンを食べながら全力疾走する。


「……ちっ。 8時5分か。

 後15分で学校に辿り着かないと遅刻しちまうな」


 疾走しながら左腕の腕時計に表示された時刻をチラッと見て舌打ちをする。

 俺が通う私立清水ヶ丘高校は8時20分迄に教室に辿り着いていなければならない。

 私立清水ヶ丘高校に通う生徒数は合計で800人からなるマンモス校として有名で、偏差値70はないと入学するのは難しい。

 そんでもって俺が住んでいるマンション【フロンティア】は学校から約10分程度の距離に建っている。


 今のペースを維持すれば約10分程で教室まで行けるだろう。

 途中にある信号が青になっていることが前提での話だけど。


「おっ? 今日はついてるな俺!」


 そう呟いてしまうのも無理は無い。

 横断歩道の信号は幸運にも青。

 これは「俺って今日はラッキー男なのかもな!」なんて馬鹿なことを呟きながらも渡る。

 あ、一応車が来てないことを確認してから渡っているからご安心を。

 そして食パンを食べ切ったのと同じくらいで正門に辿り着く。

 その時の時間は8時15分……予測した通り10分で着いたね、うん。



 正面玄関にある下駄箱から自分の上履きを取り出してローファーと履き替えてた後、ローファーを仕舞う。

 幸いにも俺が所属している1年A組の教室は1階にある。

 なので小走りで廊下を走り、1年A組と書かれたプレートがある教室の引き扉を開けて教室内に入り、窓側後方にある自分の席へと向かい、机の横に鞄を引っ掛けてから着席した。


「8時18分……ギリギリ間に合った、か」


 1番前の中央にある教卓後方にある黒板の斜め右上に掛けられた壁時計を見ての呟きだ。

 そして俺の右隣の席に座る女子を一瞬だけ横目で見る。


「……………」


 入学当初から美少女だと話題になり、1週間経った今の今までに2桁もの男子達(上級生含む)から告白を受けるも、その全てを無碍にも断って撃沈させた強者……水無月みなづき 未来みらい

 そのせいで付いたのが【ひょうれい】と言う二つ名だ。

 氷のように冷たい声で告白してきた男子達を拒絶して撃沈させた冷徹な心を持つ麗しの美少女……ってのがそう呼ばれ始めた由来らしい。

 水色の髪をストレートで流し、男が見惚れる程に整った顔立ちと抜群のプロポーションを持つ彼女は、俺から見ても美少女だと思っている。

 だけどそんな彼女は入学式後の教室での自己紹介時、クラス全員へ向けてこう公言する。


『私は全ての男性が大嫌いです。

 なので話し掛けられても無視させて頂きます』


 なんて爆弾宣言をしたんだからね。

 そんな彼女と隣同士になった俺は、一切話し掛けることはしていないしする気もない。

 ま、その宣言のせいで彼女はこの教室内で孤立状態になってるんだけどね。

 気にもめる必要がない……だって彼女の自業自得なんだから、ね。


 そしてチャイムが鳴ってから程なくして、引き扉を開けた教師が教室内に入ってきて朝のホームルームが始まり、俺は意識を彼女から教卓で連絡事項を話す教師へと切り替えた。



 だけどこの時の俺は気付いていなかった。

 彼女と深く関わっていくことになる未来が待ち構えているなんてことを……。




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 新作ラブコメです!


 リアル都合や作者のモチベーションにより更新が大幅に遅くなることもありますが、気長に待ちながら読んで頂けたらなと思います。


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