私の青春はうつ病に殺された。
スイーツ阿修羅
小学生
小学四年生 〇〇ちゃん
小学校4年生になって、
2年生の頃からずっと好きだった女の子と、再び同じクラスになった。
3年生はクラスが別だったから、話す機会がなかったけれど、 また同じクラスになれて良かったと思った。
2年生の頃は、僕は陽キャだった、と思う。
あの頃は、辛いこともあったけど、何も悩むことなく学校に行けていた。
2年生の頃は、クラスの女の子みんなに「ちゃん」づけしていた。
それが当たり前だと思っていたし、一番好きだった〇〇ちゃんのことも、〇〇ちゃんって呼んでいた。
でも、3年生になって、僕はある女子に「ちゃん」づけをバカにされた。
それ以来僕は、女の子は「~~さん」と呼ぶことにしていたのだったが。
4年生になって、大好きな〇〇ちゃんと再会して、
僕は、なんて呼べばいいか分からなかった。
〇〇ちゃんだけじゃない、すべての女の子の名前の呼び方が分からなくなった。
ほかの男子は、名前や名字を呼び捨てにして、女子に話しかけていた。
でも僕は、恥ずかしくて、とても呼び捨てでなんて呼べなくて、
でも、「さん」づけも堅苦しい気がして呼べなくて、
そこが気になりすぎて、僕は女子と話せなくなった。
頭で思ったことが、すぐに言葉に出てこない。
その女の子の顔を見るだけで、緊張して、恥ずかしくて、目をそらしてしまう。
僕はその彼女に、1年間、ほとんど話しかけられなかった。
彼女を目で追い、彼女の会話に耳を傾けて、
彼女が男子と仲良く話すところを、ただ傍観していた。
彼女の家を知らないくせに、彼女の家の周りを散歩するなんて、ストーカーみたいな事もした。
2年前は、ふつうに話せていた。
その子はめちゃくちゃ可愛くて、活発で、他の男子と仲良くしているのを見ると胸が痛んだ。
その女の子が、〇〇と付き合っているという噂が流れた。
相手は彼女と仲良しのクラスの男子だ。
噂の真偽は定かではないが、ぼくはそこ男に嫉妬していた。
彼女とそいつは、キスしたのだろうか?
ハグしたのだろうか?
まだ小学四年生の僕は、その先を知らなかったけれど、
ずっと家の布団の中で、悶えて苦しんでいた。
僕は、頑張った。
彼女に見てもらうために。
委員会や係活動も目立つものに入り、必死に陽キャになろうとした。
目立つ役職、クラスの地位。
カーストをはじめて意識して、勉強も頑張りだした。
それは僕の初めての、「誰かに評価されるため」の努力だった。
でも、そんな努力は苦しくて、辛くて、
でも頑張れば、頑張り続ければ、また明るい学校生活が取り戻せるんだって、そう信じて努力した。
「誰かに評価されるために、いい人凄い人を演じる努力ほど、苦しいものはない。そのほとんどは報われない」
頑張っても、つらくなるだけだった。
この間違った努力が、本来の自分自身を蝕みはじめ、
一年後のうつ病発病へとつながることになる。
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