23 旅に出るのにゃん(最初の強敵との戦い①)
怖がるスフィアを守るためにニーナとサリーは人間ではなく魔族であったエルナ少尉に立ち向かった。
「くらうにゃん!猫の爪(キャット・クロー)!」
【生ぬるい攻撃ね…】
出せば百発百中のニーナの必殺技を片手の黒いバリアで防ぎ切った。
「そっそんな…」
【こんな程度の力でよくスフィア様のお側に居れたものね?】
「ガハッ!」
ニーナは腹部に強い蹴りを入れられて、吹き飛ばされた!
「ニーナお姉さん!」
「ガハッ…ゴハッ…たった一蹴り入れられただけにゃのに…」
「ニーナさん、休んでてください!次は私が攻撃します!
今、流れる風、鋭い矢となりて攻撃となせ!
風の矢(エアーアロー)!」
【そんな中級魔法、バリアを使うまでもない。】
飛んでくるサリーの風の矢の攻撃を手で握りつぶした。
「ばっ馬鹿な…?」
【格の違いを見せてやる。】
「ぐわぁっ!」
エルナ少尉の作り出したするどい黒い矢がサリーの肩に突き刺さった!
【殺傷能力の高い矢とはこのことを言うのよ。】
「サリーさん!」
「へっ平気だよ、これぐらい…」
サリーは自ら刺さった矢を引き抜いた。
「でもこんなに血が…」
「まだ戦えますよ…」
「駄目にゃ、次は私が…」
「待ってて、二人とも私の力で回復させるから!」
「そんなことが出来るんですか…?」
「うっうん…どうしてかはわからないけどね…」
【それはいけません。それではこの者達がゾンビのように復活してしまう、スフィア様には戦いが終わるまでの間だけ眠って頂きましょう。】
「えっ…?あっ…」
「スフィア!」
「スフィアさん!」
スフィアはエルナ少尉の催眠魔法で、一瞬で眠りについた。
【さぁ、これで心置きなくお前達を殺せる。】
「スフィアには危害を加える気はないみたいにゃね…?」
【当たり前だ、スフィア様は私が丁重に魔の国に連れて帰るのよ。】
「魔の国にスフィアを…?」
「騙されちゃ駄目です!あのスフィアさんの怯えた表情見たでしょう?
きっとこの方がスフィアさんにとって恐ろしい存在だと感じ取ったからに違いありません!」
【黙れ。】
「ぐぁぁ!!」
「サリーちゃん!」
サリーの首を強く締めた!
「あがっ…あがっ…」
「やめろ、離すにゃん!」
ニーナは腕に体当たりをして、サリーを助けた。
「ガハッ、ガハッ…ありがとうございます…助かりました…」
【悪あがきを…】
「今の行動を考えたら、おまえが言った事は信用出来ないにゃん!本当の目的を言うにゃん!」
【仕方ない、そんなに知りたいなら冥土の土産に教えやる…】
「やっぱり魔の国に連れて帰るのは嘘だったにゃんね!」
【それは本当よ、しかし魔の国に連れて帰る前にしなくてはならないことがある。】
「しなくてはならないこと…?」
「それは何だにゃん…?」
【スフィア様との婚約の誓い。】
「えっ!?」
二人は衝撃のセリフに驚いた。
「スフィアと婚約の誓い…?」
「スフィアさんは女の子ですが…?」
【おまえ達が驚くのは無理もないだろうな、この世界に来てよくわかったわ、人間の国は同性で婚約することが当たり前になっていない遅れた国だとね、しかし魔の国では当たり前に出来るのよ。】
「なっ何と…」
【私はスフィア様を愛している。スフィア様はまだ結婚出来る歳ではないけど、婚約の約束なら今の歳でも出来る、だから行方不明となっていたスフィア様が人間の国にいるって情報を知って、こうして人間の国に探しに来たのよ。】
「スフィアは行方不明になってたのかにゃん…?どうして…?」
【そこまでは私も知らないわよ、スフィア様はある偉大なお方の子孫で、平民の私は影から見守ることしか出来なかったから…】
「じゃあ、魔の国にスフィアの家族はいるんだにゃ…」
「あなたの目的はわかりました、でも婚約するかはスフィアさんの意思次第ですよね…?断われたらどうするおつもりだったんですか…?せっかく命をかけて人間の国に来たのに骨折り損のくたびれ儲けになるじゃないんですか…?」
【スフィア様が断るはずかないでしょう?】
「なぜそう言い切れるんですか…?」
「そっそうだにゃん…?」
【魔の国に連れて帰る前に記憶を操り、洗脳するからよ、私を愛しているとね。】
「なっなんて卑劣な…」
「洗脳って何にゃ…?」
「相手が自分の言う通りに動くように操る事です…」
「スフィアの意思は…?」
「ありません…」
「そっそんなのって…」
【記憶を失っているとは人間の国に来てから知ったから、本来のスフィア様とは違っててショックだったけど。だったら私が記憶を操って、スフィア様を本来の姿に戻して、さらに私の愛するように洗脳すればいい。それでスフィア様は私の物になるのよ、素晴らしいわ。】
「おまえは間違ってるにゃん!」
【何ですって…?】
「そんなの本当に愛されてるとは言わないにゃん!」
「ニーナさん…」
【人間風情が…人間風情が私の考えを否定するなァァ!】
エルナ少尉は黒い刀を作り出すと、ニーナに斬りかかった!
「逃げてください!ニーナさん!」
「にゃっ!」
ニーナは高くジャンプして、躱したら、木に登った!
「ふぅ、間一髪だったにゃ。」
【なっ何て跳躍なの、まるで人間じゃないみたい…?】
「そりゃそうです、ニーナさんはレアスキルの持ち主なんですから!」
【レアスキルですって…?そうかだから動物みたいな手に変化できたのね…?】
「さて、ここからどうするかにゃ…」
するとスキルのアナウンスが提案してきた。
【新たな技が使えます。】
「新たな技?」
【技名:猫の殴り(キャット・パンチ)】
「猫の殴り(キャット・パンチ)…?」
【この技の使い方のイメージを
ニーナ様の頭に投影します。】
ニーナの頭にイメージが投影された。
「ふむふむ、にゃるほど… これは強そうだにゃ…」
【レアスキルがあるから何よ!私は確かに下級魔族だけど、人間の小娘ごときに倒されたりしないんだから!】
エルナ少尉は黒い翼を広げて飛んできた!
【その首、刎ねてやるわ!】
「ニーナさん!」
「スフィアは私が守るんだにゃん!
猫の殴り(キャット・パンチ)!」
【ブへッ!!】
ニーナは猫の手をグーにして、エルナ少尉の頬をおもいっきり殴り飛ばして、地面に叩き落とした!
「すっすごい…」
「手応えあったにゃん…多分、倒せたはず…」
「本当ですか?」
「うん。ぐわぁっ!!」
「えっ!?」
いきなり地面から黒い棘が現れて、ニーナの右肩と両足を突き刺した!
「ぐぁぁ、ぐぁぁ!!」
「ニーナさん!しっかりしてください!」
【ハァハァ…よくもやってくれたわね…】
エルナ少尉は口から血を吐いて、フラフラになりながらも近づいてきていた。
「ハァハァ…確かに手応えはあったはず…
何で、立ち上がれるのにゃ…」
【これでも魔族なのよ、攻撃のダメージに耐えきってやったわ…】
「そっそんにゃ…」
「安心してください!耐えきったとはいえ、あんなにボロボロなんです!私も手負いですが、後は私が…」
その瞬間、地面から現れた黒い棘で、サリーは背中を複数刺された!
「ガハァ…」
「サリーちゃん!」
【おまえに要はない…あるのはこの猫耳をつけた小娘よ…】
「しっかりするにゃん!」
「ガハァ…ゴハッ…すみません…役に立てなくて…」
「喋っちゃ駄目だにゃ!」
【さっきは苦しませるためにわざと急所は外したけど、今度は確実に心臓を貫いてあげるわ…】
「動くにゃん!体!」
【終わりよ…】
「動いてにゃん!」
【しね!!】
エルナ少尉の黒い棘が迫った!
「ぐっ!」
(ごめん、スフィア、サリーちゃん!)
"消えろ!"
所が誰かの掛け声と共にニーナの胸を貫く寸前で黒い棘が消え去った。
【なっ何が起きたの!】
「今の声って…まさか…?」
「スフィア…さん…?」
そう、眠っていたはずのスフィアが起き上がっていたのだ。
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