最悪な置き土産
地面が揺れる
揺れはかなり大きく立っていられない
思わずその場に座り込んでしまう
「真下からだな」
「異能を使えるようにしておけ」
「……わかった。一体何が召喚されるんだ。あの言い方からして何か知ってるんだろ?」
「あの言葉に覚えがあると言うだけだがな。恐らく召喚されるのは魔物の中でも最上位に君臨する存在」
魔物も位が存在する、高いほど強い魔物
「魔物の中でも最上位!? それってお前らより上って事か?」
「覇王に至った我と同格とされる存在だ」
「上じゃなくてセーフと言いたいがまじかぁ、私運悪いなぁ」
「いや運がいいだろうよ。最上位と2回も戦える機会は普通の人間にあるか分からんぞ」
「戦うのは決定なの? 逃げたいんだけど」
「逃げたければ逃げればいい、逃げられるのならな」
「デスヨネ……勝てる相手?」
「真正面からは無理だ」
「それつまり死と言う事では?」
「真正面からでなければ勝率1%はあると思うぞ」
「1%かぁ、まぁ0よりは何倍もマシか」
突如土が消え落下する
直ぐに下を確認するが真っ暗で何も見えない
(異能タイミングミスったら死ぬだろこれ、てか地面が見えねぇ)
「今だ!」
バルフェリアの声に反応して異能を使う
異能で地面に移動する
反応が遅れれば死んでいた
「助かった」
「まだだぞ」
「何が召喚されたのやら……ところでなんで土が消えた?」
「恐らく召喚には土が必要なのだろう。人形共が地面から現れたのはそのせいだろう」
「……今消えた分の土を使うレベルの存在って事?」
「あれを召喚したのなら同質量の土と召喚した物を入れ替えるような異能か。まぁそんな事はもうどうでもいい」
「だな」
刀を構える
遅れて槍が近くに降ってきたので回収する
真っ暗で見えないが目の前に何かが居るのだけは分かる
(魔物の中でも最上位か、果たしてどんな姿をしてるのやら)
「にしても暗いな。これじゃ戦えん」
真っ暗で何も見えていない、これでは戦えない
澪は現状炎を操る系統の武器も異能も持たない
「元々土が有ったところだ、仕方ない。上の光は届かんしな」
「明るく出来ればいいが……攻撃が見えないんじゃ来たら凌げるかどうか……」
突如光が灯る
部屋全体を明るく照らす
突然の事で思わず目を瞑る
少ししてゆっくりと目を開ける
目の前に一匹の魔物が佇んでいた
このダンジョンの中ボスよりも大きい
部屋もかなり大きい
「やっぱり……居るのかよ」
魔物の最上位に君臨する存在
魔物かどうかは置いといて強い存在として思い付く中に古くから伝承、神話に記されている伝説上の存在が居る
目の前にその存在と似ている魔物が居る
その存在は伝承や神話によって様々な姿形をしているがその名を聞いたら大体最初辺りに思い付くそんな姿をしていた
一対の大きな翼と長い尻尾を持ち立派な爪を携えた4本の足で地に立つ
全身が紫色の鱗で覆われている
長い首の先にある顔には鋭い眼光を持つ眼と大きな口があり頭には一対の長い角が生えている
顔は何処か蜥蜴に似ているが凄まじい程の威圧感がある
眼は澪を静かに見下ろしている
「これと戦うくらいならアルセスと戦った方が何倍もマシだろ……」
その魔物から放たれる威圧感はアルセスの殺気の比では無い
今までの戦いが児戯とすら思えてしまう
それほどの存在と対峙している
ただそこに居るだけで種としての格の違いを理解せざるを得ない
「怯えているのか?」
「そりゃあな」
刀を握る手が震える、それどころか全身が震える
震えを抑えようとも思えない
震えの原因は目の前の存在に対する純然たる恐怖、もはや逃げると言う思考すら失っている
「……こんな奴と戦うんだ。動画でも撮るか」
少しでもこの存在から意識を逸らす為に震える手で小型のドローンを操作して飛ばす
いつの間にかバックに入っていた、何処かの配信者の仕業だろう
ドローンが位置につき動画を撮り始める
動画モード、撮った映像を録画する
そしてドローンの映像はシズクがリアルタイムで確認出来る
〜〜〜
ドローンが動画を開始した事をシズクのスマホに通知として届く
裏サイトの募集を見ていたシズクはスマホを開く
「ドローンの動画開始? 間違えて起動したんですかねぇ。でもドローンって確かこの辺に置いといたようなぁ……あっ」
椅子から転げ落ちる
「痛た……」
頭を抱える、立ち上がってドローンを確認する
ドローンはどれも動画を開始していない
「あれ? 誤通知ですかねぇ、ドローンの機種は……あれこれって澪さんのバックに仕込んだドローンだ、バックに手を入れた時に間違えて起動しちゃったのかな」
動画を確認すると何やら澪と魔物が見える
「魔物と戦ってる、ドローンに気付いて動画撮ってくれてるんですね。ええっと相手の魔物はどんなすが……はぃ? ちょっ、マジですか!」
急いで椅子に座り机に置いてあるPCにスマホを繋ぎドローンの映像を流す
リアルタイムで流れている
「居るとは思ってましたがまさか澪さんが最初に遭遇するとは……空間移動系の異能を使う魔物と言い探索者として運がいいのか悪いのか」
恋歌の居るグループチャットで配信を繋ぐ
視聴者はシズクと恋歌ともう1人の3名のみの特別配信
通知が来た事に気づき恋歌はチャットに顔を出す
通話をする
『この配信はなんですか?』
「限定配信、今零さんが1人で魔物と戦ってます」
『魔物と!?』
恋歌も配信を見る
『これって……』
「まぁ見た目はバッチリあれですよね? ファンタジーでよくある」
『絶対強いじゃないですか……レイさん1人で勝てるんですか?』
「正直分からない……いや敗北濃厚だと思いますよ。正直あの場に私が居ても無駄なくらい強い魔物だと思います。見た目だけで中身弱いとかでも無ければ」
『私も映像越しでも勝てるビジョンが浮かびません……』
「私達はただ見守るしか出来ませんがせめて勝利を祈りましょう」
『そ、そうですね』
「ところでもう1人に連絡したんですが見てないんですかね」
『もう1人ですか?』
「はい、丁度1人あのサイトで募集の話に乗った人が居るんです。一応このグループに招待しておいたんですが……」
その時1人グループに入ってくる
通話に参加する
「あっ来ましたか。どうも初めまして七彩の魔術師シズクです!」
『れ、恋です!』
『初めまして、呼ばれたので来ました。それでこれは配信ですか?』
少女の声
「はい、配信です。この配信は私達3人のみが見れる限定配信です。そしてこれからとんでもない戦いが起きます」
『とんでもないですか? ここに居ないレイ殿が戦っているんでしょうがどんな戦いでも正直3級のエリアボスを2人で倒してる時点でこれ以上驚く事もない気がするんですが……確かにこれはとんでもないですね』
若干呆れ気味に言っている
この少女も澪の活躍を知っている
1人で3級のダンジョンに突っ込んだり二名で3級の中ボスを最速クリアするなど訳の分からない事をしているのは話題になっている
少女は澪の事を命知らずと呼んでいる
そして現在も命知らずな事をしている
少女は内心かなり呆れている
3人は話しながら澪を見守る
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます