ダンジョンに潜るニート、大人気配信者と最強のタッグとなる
代永 並木
配信者とニートが遭遇する
10年ほど前に突如として世界中にダンジョンが現れた
そのダンジョンには未知の鉱石、道具などが眠っていた
そして現在未知への探索を多くの人間が行っている
一般の探索者は仕事としては認められていないので無職判定
ただし武器を保有する際に資格が必要で資格が無いと警察に捕まる
ダンジョン内で扱う武器は銃では無く剣や槍などと言った物だった
ダンジョンの中では外の武器は使えなかった
内部で得た鉱石等で作った武器、もしくは入手した武器でのみ魔物を倒すことが出来た
そのため銃の様な消費の大きい武器は作られなかった
年間多くの探索者がダンジョンに潜り探索者が死んでいる
それでも探索者は潜り続ける様々な望みを胸に
その探索者の一人
井坂澪20才
元会社員現ニート兼探索者
ほぼダンジョンと家とコンビニを行き来する生活をしている
彼女もまたダンジョンで金を稼ぎに来ていた
稀に手に入る魔物の素材は物によっては高額で取引される
それ目的で潜っている、かなり低確率の為多くの魔物を倒さないと行けない
ダンジョンによって難易度が変わる
当然難易度が高いダンジョンの魔物程高額で取引される
「さて、行くか」
いつもと同じダンジョンに潜る、家から近いとは言えないがダンジョン中では近い方で人気も少ない
使う武器は剣、このダンジョンで入手した武器
洞窟型のダンジョンでほぼ一本道
魔物が数メートル先に湧く
魔物はダンジョン内に一定周期で湧く
倒すと魔石以外は消える、稀に素材として体の一部が消えずに残る
魔石は様々な研究などに使われるのでそれなりの額で国が買い取っている
2m近い黒いモヤに覆われた二足歩行の魔物、手には武器を持っている
「相変わらず図体デケェ、お前の素材高く売れるから寄越せや」
剣を構える
よく戦っている魔物、戦い方は熟知している
動きが遅いが一撃が重い
走って接近する
魔物は武器を振り被る、いつも通りの大振りの一撃
素早く後ろに回り首目掛けて剣を振るう
武器を振り下ろした直後のため防御も回避も出来ず首を両断される
「こいつは楽だな」
魔石を回収する
二階層まではこの魔物だけが湧く
同じ魔物を同じように倒していく
「おっ、珍しい」
2体同時に現れた
大抵1体ずつのため2体同時は結構珍しい
2体になると同じ戦法が使えない、戦い方を変える
接近すると魔物は武器を横に振るう
飛び退き回避する
(びっくりしたぁ)
基本振り下ろし攻撃で横に薙ぎ払う攻撃は珍しい
回避したところに振り下ろし攻撃を叩き込む
「危ねぇな」
回避直後、本来なら回避出来ないようなタイミングの攻撃を避ける
「奥の手を使っちまった。まぁ良いけど」
ダンジョンが出来てから人々の中に異能と呼ばれる力を得た者が居た
様々な力で単純な身体強化からファンタジー世界の魔法のような力まで多種多様であった
そしてその異能を使える人々はほぼ全員が探索者になりダンジョンに潜っている
澪もまた異能者である
攻撃を避けた澪は魔物の腕を切り落とし流れるように首を切り落とす
「おっと危ない」
異能を使って回避する
背後に回った澪は剣を首に突き立てて倒す
(これ疲れるから多用したくねぇんだよな)
澪の異能は使う度に体力が減る、連発すれば疲弊する
2個の魔石を回収して周りを見る
「素材は落ちねぇか。もう少し潜るか」
ニートの為時間は一杯ある、魔物を倒しながらどんどん奥へ進んでいく
次の階層に進む、奥に三手に別れた道があるくらいで一階層とは特に変わらない
「最下層まで行くか」
日常的に使っているダンジョン、当然のように最下層まで探索済み
分かれ道もどの道が正解か知っている
魔物を倒しながら奥へ進んでいく
次の階層へ行くと異変に気づく
「血……探索者か」
地面に血の跡が残っていたそれは奥まで続いている
血の跡を追って先に進もうとするが魔物に阻まれる
ここからは先程とは違う魔物が現れる
大狼の姿をした魔物
剣を構えて走って接近する
「少し急いでいるんだ邪魔をするな」
一瞬で首の裏に移動して剣を突き立てて倒す
魔石を回収せずに走って向かう
血を流した人物は戻るのではなく奥へ進んでいる
軽い傷ならともかく血の跡が道を作るほどの負傷をしている
「この判断1人では無いな」
しばらく走って次の階層の手前辺りから声がする事に気付く
「くっそ、カバー早く!」
「うるせぇこっちも手が空いてねぇんだよ」
「言葉には気をつけて!」
「うるせぇ! お前も戦えや」
「支援してるでしょ!」
「もう無理だ逃げるぞ!」
「待って!」
喧嘩をしているようだ
どうやら戦闘は劣勢のようで会話に余裕が無い
男3人は戦いを辞めて逃げるように走っていく
その際に武器で殴られ少女は倒れる
少女は囮にされたのだ
壁沿いに移動すると澪には気づかず男達は走り去っていく
1人置いてかれた少女は這いずってでも逃げようとするが魔物の方が早い
大狼型の魔物が3体居た
「いや! 助けて!」
狼の一体が前足の爪で切り裂こうとする
「3体は面倒だがまぁやるしかないか」
剣で魔物の攻撃を防ぐ
(重いな)
なんとか攻撃を逸らして少女に逃げるように伝える
「逃げろ!」
「えっ?」
「良いから逃げろ死ぬぞ」
少女は立ち上がって走る
魔物は一定周期に湧く、逆に言えば倒してから時間が経っていない今なら魔物は湧かない
少女が戦闘に巻き込まれない距離に行った事を確認して剣を構える
「あっ、しまった前の戦い、すぐに終わらせたわ」
攻撃を避けてチャンスを待つ
3体からの攻撃を全て避ける、攻撃は単純で噛み付きか前足を使った攻撃
巨体によって繰り出される一撃は重くそして早い
「もう十分か」
異能を発動させる
瞬時に背後に移動して首元に移動して剣を突き立てる
着地を狙って襲いかかってくる
本来なら回避は不可能、しかし澪には異能がある
攻撃してきた狼の背後に移動して剣を突き立てる
「最後の1匹」
最後は真正面から突っ込み攻撃を躱して前足を切り裂きバランスを崩して倒れ込んだところに一撃
魔石と素材を落として消滅する
「よっしゃ! 素材落ちた。今日は帰ろっと」
岩陰に隠れていた少女が出てくる
「逃げなかったんだ。私帰るから入口までなら案内するよ」
「え? あっ、はいお願いします! それと助けて頂きありがとうございます」
「気にしなくていいよ。いつも行ってるダンジョンで人死出るのが嫌なだけだし」
入口まで歩いていく
魔物は湧いていないが入口付近の魔物は恐らく再湧きしている
「いつもってここに何度も来てるんですか?」
「家からそう遠くないからね」
「ここ強いダンジョンですよ?」
「へぇ、そうなんだ。あぁ道理で素材が高い訳だ」
「道理でって知らないんですか?」
「何が?」
「このダンジョンはこの付近じゃ最強ダンジョンで一度入ったら二度と出てこれないなんて言われてるんですよ!」
「へぇ、だから人気がないのか」
「強い探索者集めて挑んでこのザマですし今日は動画の予定だったので良かったですが」
少女は落ち込みながらスマホを弄っている
気になり画面を見るとこの洞窟の映像が流れている
「探索配信者って奴か」
「はい、編集する予定でしたがこれはボツです」
探索者の中にダンジョンの状況や戦闘などを配信する人々がいる
探索配信者と呼ばれリアルタイムの戦闘や探索の様子を動画サイトで流して収益を得ている
編集して見やすくした動画版も人気
中には人気配信者と呼ばれる人達も居てかなり稼いでいるとの話がある
「なんで?」
「今回は探索に失敗したのといつものメンバーでは無いので下手に動画に出すと裏事情をバラされかねません、なので隠蔽します」
「配信者って面倒だね」
「配信してないんですか?」
「してないよ?」
「なんで?」
「私機械音痴だし後写真に写るのとか好きじゃないし」
スマホの操作がやっとの人間に編集や配信なんて出来るわけが無い
「美人ですし強いですし絶対人気出ると思うんですが」
「めんどくさい。入口着いたよ、探索は危険だから次は気をつけてね」
そう言って澪は素材や魔石の売買をしている取引所に向かおうとするが止められる
「私と配信しませんか!」
「断る」
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