第9話 想い出のテレホンカード

ユイちゃんの旅の九日目は、海岸沿いの小道を歩いているところから始まりました。彼女は穏やかな波の音に耳を傾けながら、心地よい海風を感じていました。


そんな時、ユイちゃんはベンチに座ってテレホンカードをじっと眺めているお爺さん猫の姿をした妖精に目を留めました。お爺さん猫は白い毛並みにしわくちゃの顔をしており、カードを見つめるその表情には深い物思いが浮かんでいました。


ユイちゃんは好奇心を抑えきれず、そっとお爺さん猫のそばに近づきました。そして、彼女はお爺さん猫に声をかけ、そのテレホンカードについて尋ねました。


お爺さん猫は名前をソウタと言い、そのテレホンカードには彼にとって大切な思い出が詰まっていると語り始めました。昔、彼はこのカードを使って遠く離れた家族や友人に電話をしていたのです。しかし、時代が変わり、今ではもう使う機会がなくなってしまいました。


ソウタさんは、このカードを見るたびに、若かった頃の冒険や出会い、そして遠く離れた大切な人々のことを思い出すと言いました。彼の話には、過去への郷愁と、時の流れに対する淡い哀愁が込められていました。


ユイちゃんはソウタさんの話に深く感動し、彼に自分の三味線の音楽を聞かせることにしました。彼女の音楽は懐かしさと温かさを感じさせ、ソウタさんの心に響きました。音楽が終わると、ソウタさんは涙ぐみながら感謝の言葉を述べ、ユイちゃんに幸せな旅を願いました。


ユイちゃんはソウタさんと別れ、再び旅を続けました。彼女の心には、ソウタさんの物語とそのテレホンカードから感じた深い感情が残りました。そして、ユイちゃんは自分の旅で作る思い出の価値を改めて感じ、その大切さを胸に刻み込みました。


そして、ユイちゃんの旅は続いていきます。それぞれの出会いが彼女に新たな教訓と感動を与え、彼女の物語はさらに豊かなものになっていくのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る