頭思

谷 稀椅

姉との死別。

今日も大学へ行く。

そういう漠然とした一日を過ごす何人とも変わらない大学生だ。

だが、自分は他者とは異なると思いたい。

正確には姉が自死をしたという経験からそう思っているのだが。むしろそうあって欲しい。

なぜなら、これ以上ない不幸を小学校の低学年で経験した自分からしたら何か特別な幸せや見返りがなければ他人との人生の辻褄が合わないと考えているからである。

姉の訃報の連絡が警察から伝えられた時は、本当に人は死ぬのか。と子供ながらに思った気がする。

そう思った瞬間に、心臓の鼓動がとてつもない速さでなりだし目から涙が溢れてきた。

それから感動すると言われている映画や動画を見ても、涙が出たことは一度もない。

心を失ったのかと言われれば、友達と飲みに行ったりすると他愛もない話でも興味が湧き大笑いなどしているので、そうではないと思う。

姉には、これから共に親には言えない相談を行う相手としての役割や楽しい思い出を沢山作ろうと思っていた矢先の出来事であったのでとても恨んでいる。

家族に相談もできず自死するほどの、自分には予想もつかないストレスを抱えていたのだろう。

相談が出来れば、自死という思考すら出てこないのだろうが。

以上が、自分が特殊でありたいという考えに至る経緯である。

ただ、こういった経験を他人に共感してもらいたいと思っているのではない。共感など出来るわけないのだから。

しかし、今頃姉が生きていたらどうなっていたのだろうと思わない日はないのは事実である。

自分には自死する勇気などないため、姉がどういう気持ちで前日を迎えたのかなど気になる点が沢山ある。

読者の方々には、不可侵だと思っている何気ない日常がどれだけ簡単に侵されるものか。幸せなものか。ということを考え自分にも言えることだが生きていこう。生きて欲しいと思う。

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