君のみる世界
ミハナ
第1話
見て、星屑拾ったんだ! !
君は僕に見せに来た。
大事そうに包まれた両手をゆっくりと開く君。
驚くよ? との声かけには苦笑せざるを得ない。
いくよ、せーのっと可愛い掛け声に手のひらにちょこんと乗っていたものは。
ガラクタだった。
薄汚れた、星のカケラでもない、隕石でもない、ただのガラクタ。
りっくんに、あげるね。
小さな手のひらが僕に向けて差し出される。
そっと摘みあげ、しげしげと見てみる。
もしかしたら、これは君の中では星屑との通信機器なのかもしれない。
君の見る世界はどれもキラキラしてて。
対して僕の見る世界はどこも灰色で、色なんかなくて。
君は受け取った僕を見て花が開くように笑った。
また、持ってきてあげるね!
その声にいやも返すまもなく君は踵を返して走り去っていた。
僕の机には小さな小さな、それでも君にとっては大きなガラクタ。
それを要らない箱に詰めた。
君の見る世界の僕は、果たしてどれだけ綺麗なんだろうか。
箱の中、並んだガラクタ達を見る。
これらを捨てられない僕は、君に夢中なんだろうか。
十も歳下の、君に。
捨て去ったキラキラを僕に見せる君に。
「今度は、何を持ってくるのかな。」
呟いた声は、忘れていたはずのわくわくした感情に満ちていた。
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