第2話:幸太郎はわらわの家来じゃ。

「そうね、そのからくり箱ってのは、俺の時代じゃタイムマシンって言うんだ」


「ほう・・・そうか・・・ん〜まあよい」

「で、最初は誰がそのからくり箱の中に入って、未来か過去に行くかってことに

なっての」

「で、いの一番に、わらわが志願したのじゃ」

「毎日、屋敷の中で退屈しておったゆえな・・・」


「みな危険だからおやめくださいって反対したんじゃが」

「好奇心旺盛な私はどうしても未来とやらへ行ってみたくなっての」

「で、親には内緒でからくり箱を通って、ここに現れたと言うわけじゃ」


「あ〜そうなんだ・・・」

「そんな、怪しげな?からくり箱とか怖くなかったの?」


「そのようなことを言っておっては文明など発展せんじゃろ」

「なにごとも犠牲はつきものぞ、幸太郎」


「まあ、理屈だけど・・・」


「そなたは?、幸太郎はわらわの子孫ではなさそうだな?」


「たぶん違うと思いますけど・・・」

「ご先祖様のことはあまり詳しく聞いたことないですけど、苗字が真田だから、

もしかしたらご先祖は侍だったもしれませんね、でもお姫様の家系とか関係ない

と思うけど・・・」


「そうか・・・まあよい」

「さて・・・私は右も左もわからぬ身」


「たった今から、幸太郎はわらわの家来じゃ・・・よいな」

「いろいろ教えてたも」


「たもって・・・俺の家に勝手に居座るわけ?」

(さすがお姫様・・・自己中って言うか、自分勝手、マイペース)


「なんじゃ不服か?」


「いや〜とんでもない・・・ありがたき幸せ」


(俺もなに合わせてるんだよ)


「とりあえず、わらわは腹が減った・・・なにか食べ物を所望したいが・・・」


「あ〜たぶんパスタならすぐ作れると思うけど・・・」


「パ?、パスタ?・・・パスタとはなんじゃ?」


「そうだな・・・麺類って言うか・・・イタリアの家庭料理って言うか・・・

とにかく食べてみたら分かるよ、ただし冷凍食品れいとうしょくひんだけどね」


「れいとう?しょくひん?とは?・・・なんじゃ幸太郎?」


「え〜いちいちなんじゃ、なんじゃって聞かれたらたまったもんじゃないな」

「先が思いやられるよ・・・」


で、胡桃姫は腹が減ったって言うから、冷凍パスタをレンジで温めて

てやって、


「姫、ちょっと・・・紅葉みたいな可愛いお手々を拝借」


姫の手をとってキッチンまで連れてきてテーブルに座らせた。


「はい、パスタ・・・食ってみ?」


「なんじゃ?この先っぽが何本も尖ってるものは?」


「フォークだよ」


「こんなものでは食べられないではないか?」


「そなたの、そちの家には箸はないのか?」


「あるよ」


わがままお姫様に箸を出してやった。

でも箸でもなかなかパスタは掴めない・・・


「どうすればよいのじゃ・・・この細いやつはわらわから逃げる気でおるぞ

幸太郎、食べづらいぞ・・・」


って言うもんだから、俺が横から姫にパスタを食べさせてやった。


「はい、あ〜んして・・・」


「あ〜ん・・・・」


もぐもぐ・・・・むしゃむしゃ・・・。


「うむ・・・なかなか美味じゃの・・・このパスタなる代物は」


そういいがなら胡桃姫はパスタを全部たいらげた。


「なんか・・・これからもっと美味いものや楽しいことがいっぱいありそう

じゃの、この時代は・・・わらわの時代とはかなり違うな、幸太郎 」


胡桃姫は嬉しそうにそう言った・・・意地悪そうなお目々で。


これからこう言う毎日が始まるのか?・・・あ、でも俺が大学に行ってる間

姫をどうしよう・・・。


つづく。

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