過去の再現

限りなく近い姿に真似ることはできても、やはり完全なる過去の再現は不可能である。

その日の気温、天気、風向き、体調、感情、状況、誰といて、何を思ったか、周りの人の動き、関係性など、そのすべてが、二度と訪れることのない一日を形作っている。同じように見える毎日は、実は全く違う日のはずであり、あの日には戻れない、というのはそういうことでもある。悲しいことに、人間の想像力を以てしても、完全なる再現は不可能だ。なぜなら過去は、歪めたり、美化したり、書き換えることが出来てしまうからだ。気をつけたところで、フィルターは既にかかってしまっている。

しかし、だからこそ人は生きていけるのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る