第5話:生まれ変わったレプリス。

一宮さんちの倉庫の前に不法投棄されたって言うガイノイドちゃんで、

よかったらタダでいいって言うから俺は見に行ってみることにした。


で、俺はその子を見た瞬間一目見て気に入ってしまった。


可愛い・・・お世辞じゃなくて妥協じゃなくて可愛いと思った。

期待はしてなかったけど、それ以上どころがこの子なら申し分ないと思った。


大袈裟じゃなくて俺は自分が探してた女性に巡り会えた気がした。

それは完璧に俺の一目惚れって言えた。


「ほんとに、まじでいいんですかね・・・この子、タダで」


「いいよ・・・どこの誰のものか分からない以上、最終的に捨てるしか

ないんだから・・・」

「基本、機番のない子や放棄されたり登録抹消されてる子は売れないからね」


問題はこの子のこの体をレプリスが気に入ってくれるかどうかだった。

そこで写メを撮ってレプリスに送ってやった。


「この子なら、手に入りそうだけど・・・・レプリスが気にいらなかったら

この話はボツだから ・・・」


しばらくしてレプリスから連絡が入った 。


《いいと思う・・・この子嫌いなビジュアルじゃないよ》

《って言うか、前の体よりずっといい》

《将暉が気に入ったなら私はいいよ・・・体があるだけで嬉しいもん》


「そうかじゃ〜決めるぞ」


《おまかせ》


次の日俺は会社を休んでバイクに乗ってレプリの脳殻が入ったサッカーボール

ネットを引っさげて一宮さんちにでかけた。


不法投棄されたガイノイドちゃんのメンテはすでに済んでいた。

あとはレプリの脳殻をガイノイドちゃんの空っぽの頭に入れるだけ。


一宮さんの家に到着した僕はレプリスの脳殻をもって彼の家のドアを叩いた。

倉庫の中に入ると作業台の上に不法投棄されたガイノイドちゃんが寝ていた 。


ケバかった化粧も落とされて服も普通のワンピースに着せ替えられていた。

化粧落としたほうがいいじゃん・・・素顔のほうが可愛い。


「この子の脳殻はもう外してあるから・・・」


「どっちにしても脳に障害があったみたいだしね・・・いつかは故障してた

んだろうけど、だからって完全にイカれてたわけじゃない」

「 持ち主は壊れたと思って修理にも出さずに捨てに行こうとしたんだよ」

「可哀想に・・・」


「じゃ〜早速、レプリスの脳殻をセットしようか・・・」


レプリスの脳殻一を僕から受け取った宮さんは作業にかかった。


人工皮膚はメスで切り開いてもあとでちゃんと再生するらしい。

人間の細胞以上の再生能力をもってるんだって。

下手すると人間の体より優秀で機能的には人間以上らしい。


レプリスの脳殻はガイノイドちゃんの頭の中にきっちり収まっていった。


「さあ、終わったよ阿井さん」

「たぶん、今レプリスの脳は新しい体を認識するために各部チェックしてる最中

だから、だいたい5分もすれば目覚めると思うよ」


一宮さんの言ったとおり5分ほど経った頃、ガイノイドちゃんのレプリスは

目を覚ました。


瞼パチパチして目をキョロキョロさせたあとすぐに俺の顔を見た。


「将暉・・・」


「レプリス・・・大丈夫か?・・・変じゃないか?・・・違和感とかないか?」


「大丈夫だよ」

「もう少ししたら完全な私になるから・・・」


「よかったじゃない・・・たぶんレプリスはもう大丈夫と思うよ」

「落ち着いたら彼女連れて帰ってもらってもいいよ」


「本当にお世話になりました」


レプリスも作業台の上から彼にお辞儀した。


「ありがとうございました・・・あの、本当に、お金いらないんですか?、

ここまでしてもらってるのに ?」


「じゃ〜ラーメン二杯分、阿井さんのおごりね」


「分かりました・・・二杯でも三杯でもおごります・・・いつでもラーメン

食べたくなったら連絡ください」


「それと、よかったらこれをきかっけにこれからも交流させてもらっても

いいでしょうか?」


「そうね・・・好きなように・・・」

「まあ、時々はレプリスのメンテしたほうがいいだろうしね」


「レプリスちゃん、またね」


「はい・・・またね、一宮さんいろいろありがとう」


「阿井さんこれからはガイノイドのこともっと勉強したほうがいいよ」

「そしたら日頃からレプリの様子を見てやれるからね」


「分かりました・・・勉強します・・・改めてありがとうございました」


俺とレプリスは一宮さんにお礼を言って彼の家を後にした。

来る時はソロだったけど帰りはレプリとウハウハタンデムでレジデンス

に帰った。


つづく。


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