時の女神の宿命

堂宮ツキ乃

序章

 ずっと昔。遥か昔。


 そんな言葉が似合うほど途方もない過去から人間という者は存在した。


 実際には人間の姿をした者たち、と呼ぶべきだろうか。


 彼らは現代の人間と違い、わずかにだが霊力というものを身につけていた。それを狩りに活かしたり何かを作る上で役に立てている。


 中には他の者よりも霊力が強い者もいた。彼らは巫女や巫となって村や里を守る役割を与えられることもあった。


 この時代、神というものを重要視して小さな社会がいくつも存在した。時永ときなが一族もその一つだ。三十人ほどが住まう小さな村で、神里かむりと呼ばれる巫女によって守られている。そんな中で人々はのびのびと暮らしていた。


 これは時永一族に迎え入れられ、恋に身を焦がして数奇な運命を辿ることになった美しい娘の物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る