堕ちてゆけ 静かに囁く 拐かし

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ASMR回です。絃葉とオタク(みなさまとわたし)の耳を溶かすのだ!


(敬称略です)

悠心ゆうみ】イメージCV:花守ゆみり

絃葉いとは】イメージCV:本渡楓

めい】イメージCV:羊宮妃那

小霧さぎり】イメージCV:鬼頭明里

八葵やつき】イメージCV:花澤香菜




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[八葵]「ダミーヘッドを、買いました」


[絃葉]「悠心、それ1個ちょうだい!」


[悠心]「散々食べたのにまだ食べるのかよ。あーんはしてやらねーからな」


[小霧]「めーちん、45分になったら起こしてー。ひと眠りするとするよー」


[命]「うん、分かった。お膝使う?」


[小霧]「優しいでんなー。なら甘えてー」


[八葵]「人の話は聞きましょうよォ😭!」


[悠心]「わっ、びっくりした。」


[小霧]「なんなのやっちー。眠気飛んでいっちゃったんだけどー」


[絃葉]「あ、かわいそう」


[小霧]「でしょー?」


[八葵]「私は可哀想ではないと😭!?」


[命]「あはは……」


[悠心]「で、なんだよ。なんか買ったんだろ?」


[八葵]「そうだったそうだった。……じゃん。こちら!」


[絃葉]「アイエー!? ナマクビ!?」


[小霧]「やっちー、お店に返してきなさーい」


[八葵]「マネキンちぎってきたわけじゃないやい! これにはちゃんと名前があって……」


[命]「もしかして、ダミーヘッド……?」


[八葵]「おや? 意外。命が知っているとは」


[命]「最近ちょっと寝付き悪くて、よく眠れるASMRとかを聴くんだけど、そこで……」


[絃葉]「メイちゃん、寝つき悪いの? ……悩み事?」


[小霧]「それはちょいと見過ごせませんなー」


[八葵]「ほれ、話してみんしゃい」


[命]「えぇ!? いや、本当にちょっとだし、特に何か悩みがあるってわけでもないし……」


[悠心]「余計な心配かもしれないぞ」


[三馬鹿]「確かに」


[命]「あはは……みんな、ありがとう。実は、最近逆剥けが急に増え──」


[絃葉]「保湿!」ハンドクリームヌリヌリ

[小霧]「早寝!」マクラポイー

[八葵]「ビタミンC!」ミカンドッサリー


[命]「もごご……」


[悠心]「お悩み解決ヨシ!」


[命]「あ、このミカン美味しい」


[八葵]「さっき生成しました」


[悠心]「食べていいやつなんだよな?」


[八葵]「ヘタのところとか難しかったな〜」


[悠心]「命、身体に不調が出たら言えよ。こいつを吊し上げるぞ」


[命]「え、えぇ……?」


[八葵]「さて本題。ダミーヘッドを買いました、が……?」


[小霧]「持て余してるとー?」


[八葵]「イグザク!」


[悠心]「おい。調べたらやたら高いのしか出てこないが……」


[絃葉]「えっ、どれどれ? ……高っか!?」


[八葵]「ははは、ははは……」


[悠心]「後先考えずに買ったのか……?」


[命]「やっちゃん……」


[絃葉]「……小霧、これからはちゃんと見てあげてね」


[小霧]「流石に幼なじみでも懐事情は把握してないでしょー……」


[八葵]「ま、冗談はこのくらいにして。実はコレ貰い物でさ。おじいちゃんの友達が譲ってくれたんだって。で、おじいちゃんは使い方分かんないから、私が譲り受けたってワケ」


[4人]「よかったあ……」


[悠心]「で、それ使って遊ぶのか?」


[八葵]「Yesそうだとも」


[小霧]「シナリオは任せろー」


[八葵]「いや、もう考えてあります。貴様の出る幕はおよそない」


[小霧]「なんだとー?」


《台本を配る八葵》


[悠心]「律儀に作ってきやがって……」


[絃葉]「あれ? ト書きは4人分だけ? 悠心と、やっちゃんと、小霧とメイちゃん……あれ? わたしの分は?」


[八葵]「はい。絃葉さん、あなたには自律的感覚絶頂反応を体験してもらいます」


[絃葉]「わたしが聞き役かあ……大丈夫? わたしそういうのあんまり聴かないけど……」


[悠心]「まあその分、忌憚のない意見は聞けると思うが」


[八葵]「そう。結局はみんなの声の良さに依存するものだから、単純に気持ちよかったか気持ちよくなかったかで判断していただければ」


[小霧]「ゲヘヘ、耳を犯してやるでゲス」


[絃葉]「ちょっと心配なんだけど!?」


[命]「あはは。初めてやるけど、頑張ろう……」


[八葵]「初心者がやるのも乙ってものさ。気楽にネ」


[命]「うん……!」


~~~~~~


[悠心]「あ、あ〜。聞こえてるか?」


[絃葉]「うぁ、悠心のウィスパーボイスやばい、溶ける、脳みそ溶ける、溶ける」


[命]「あ、あー……大丈夫? 雨ちー、お耳痛くない……?」


[絃葉]「待ってメイちゃん、ちょっと、あ、やばいかも……腰の辺りがゾワゾワする……」


[命]「え……んん。……もう少し低くしたほうがいいかな……(低音)」


[絃葉]「いや、いっこ前の低さで大丈夫! むしろこれ以上下げるのはまずいかも!!!」


[八葵]「(この反応。ダミヘ越しに聴かなきゃ細部までは分かんないけど、やはり命と悠心にはASMRの才能がある。慧眼と信じて良かった……)」


[小霧]「あ。あー。雨ちー、聴こえてるー?」


[絃葉]「あ、なんか小霧の声すごく安心する。このままずっと喋っててほしい……」


[小霧]「珍しー、雨ちーがわたしにデレるなんてー」


[八葵]「多分微妙に褒められてないが……どうだい絃葉? 私の声量はちょうどいい?」


[絃葉]「うん、やっちゃんもちょうどいいよ。というかごめん、今右耳側に悠心とメイちゃんがいるでしょ? どっちか小霧かやっちゃんと代わってくれないかな……」


[悠心]「分かった。じゃあ私と小霧が交代な」


[小霧]「あいさー」


[命]「雨ちー、本当に大丈夫? さっきからちょっと声震えてるけど……」


[絃葉]「大丈夫!!!」


[八葵]「声デカ。……さて、じゃあ台本を読んでいくとしますかね」


《ビブラスラップを鳴らす音》


[絃葉]「ちょっと待って!?」


[八葵]「なんですかお客様。施術はもう始まっていますよ」


[絃葉]「もしかしてこの反応も台本に織り込み済みなのかな!? ビブラスラップをカチンコ感覚で!?」


[命]「お客様のお名前は……雨田あめだ絃葉いとは様ですね。本日はお耳コースを15分、と。……それでは今から15分間、雨田様のお耳を……気持ちよ〜く、していきますね……(低音)」


[絃葉]「ちょっ、ちょっと待って……メイちゃん……」


[命]「メイじゃなくて、ミコトです。……どうされましたか? ?」


[絃葉]「あっ……♡」


[悠心]「(命……本当に初めてか? まあ小学生の時にやった演劇も上手かったしな。そっから成長を続けてたんなら、やたら上手いのも納得できる)」


[小霧]「それではまず……」


[八葵]「(どしたんさぎ?)」


[小霧]「(これなんて読むのー?)」


[八葵]「(梵天ぼんてんだね、ぼんてん)」


[小霧]「(おけー)こちらの梵天を使って、お客様のお耳を癒していきますねー」


[絃葉]「あっ、ぽふぽふする。ワサワサもする。ちょっと気持ちいいかも……」


[八葵]「喜んでいただけたようで何よりです。1分ほどこの施術を行い、ノイズの確認をいたしますね。気持ち悪ければお声がけください」


[絃葉]「はーい……」


[悠心]「おはようございまーす。……あれ、その人が今日最後のお客様ですか? お名前はえぇと……雨田絃葉様。偶然ですね、私の恋人と同じ名前です……♡」


[絃葉]「ほんと偶然ですね!!!(クソデカ声)」


[八葵]「お客様は幸運ですねぇ。当店人気トップのふたりと、店長と副店長に施術してもらえるなんて……♡」


[命]「トップ1です……(低音)」


[悠心]「2です……♡」


[小霧]「ご紹介に与りました、副店長でーす」


[八葵]「そして店長です。ああ、お話している間に梵天はおしまいですね〜。気持ち悪くないようで何よりです。お次は当店オリジナルの施術となっております。副店長、BGMの用意を」


[小霧]「了解でーす」


《焚き火の音》


[絃葉]「けほっ……あれ、なんか煙たくないですか?」


[小霧]「当店のこだわりとなっておりまーす。焚き火風のアロマなので、健康に問題はありませーん」


[命]「それより……私なんかより、アロマのほうが気になっちゃう感じですか? ちょっと嫉妬しちゃいますね……(低音)」


[絃葉]「はひっ」


[悠心]「こら、ミコトくん。お客様が怖がっちゃうでしょ? ほら、もっと優しく……水面に浮かぶ泡を触るように扱わないと……♡」


[絃葉]「あっ、あっ」


[小霧]「それでは、当店人気トップ2によるしりとり施術、始まりでーす」


[八葵]「最初の言葉は〜? ……しりとりの“り”から。リトグラフ!」


《ここから命は低音多め、悠心は吐息多めになります》


[悠心]「ふ、ふかあ。ふ、ふ〜……」


[絃葉]「(耳溶けちゃいそう……!)」


[悠心]「……フィジカルギフテッド……♡」


[命]「ど……ど、か。……ねぇお客様? なんて言ってほしいかな。耳トロットロにされてトリップもいいけど、ボクらだけ一方的に喋るのも寂しいし、声出してほしいな……(低音)」


[悠心]「今日はお客様……あ、“いとちゃん”が最後のお客様だから、声出してくれてもいいんだよ……♡ いくら声出しても、聞いてるのは私たちだけだから、ね♡」


[絃葉]「(口が半開きで、とても目も当てられない表情をしている)」


[悠心]「ミコトくん、次……ど、だよ?」


[命]「ありがとう(低音)。じゃあ言うね……? ドグラ・マグラ……(低音)」


[悠心]「ら、かあ。思いつかないなあ……♡」


[命]「ココロちゃんの好きなものとかはどう?」


[悠心]「あ、それいいかも〜♡ ……ランドルト環♡」


[命]「へぇ、ランドルト環好きなんだ」


[悠心]「うん。……大好きだよ♡(吐息多め)」


[絃葉]「へぁぇっ!?」


[命]「そうなんだ。……ボクも大好きだよ(低音)」


[絃葉]「……ぬぁぁぁぁぁぁぁっ!」


[八葵]「あ〜! 絃葉! なんでヘッドホン外すのさ!」


[絃葉]「これダメ! いや本当に最高なんだけど、本当に脳みそ溶けちゃう可能性激高だから! 本当に!」


[命]「っふふ。お客様、逃げちゃうんだ。……弱虫だね(低音)」


[悠心]「寂しいなあ。私、もうちょっと絃ちゃんと一緒にいたかったのに……♡」


[絃葉]「はっ、ははっ、はひっ……♡」


[小霧]「レックレックー」


[八葵]「絃葉のメス顔いただきましたァ!」


[絃葉]「ちょっ、小霧それ消して! 今は撮らないでぇ〜!」




──────




【ひとこと・おまけ】

1周年記念の毎日投稿、3日目です! 命の意外な才能、演技でした。

ダミーヘッドはその後、八葵が命に託しました。あまりにも命にASMRの才能がありすぎるせいで……😭


もし悠絃命霧葵(本作略称)がボイスドラマ化するのなら、今話を推すでしょうね、私は……。


(以下、それぞれが今回録音したASMRを聴いた反応集です)


【悠心】

うわ、私こんな声出してたのか。猫なで声すぎでちょっとなんか……聴くのキツイな。ASMR向きの声ではあると思うが……。

それより命だよ。イケボすぎるだろ。普段は高めのハスキーボイスなのに、下げられるとこまで下げるとこうなるんだな。才能が恐ろしいわ。

小霧と八葵はまあ……そのままだな。キャラも何もない。演技も特別上手くも下手でもない。……うーん、ちょっと淡白かもしれないな、感想が。


【絃葉(もっかい聴いた)】

悠心のこれ、聴き返すとだいぶキャラに入り込んでるね。普段の悠心からは聞けない声だから新鮮で正直興奮したけど、やっぱりいつもの悠心のほうがいいかな。今度はやっちゃんと小霧がメインのお話も聴いてみたいかも。

えっ、メイちゃんに関して? ……正直、お金払いたい。悠心に聞いたらそういうのを売ってるサイトがあるみたいだから、いっそそこに出品してほしいなあ……。


【命】

わ。秋ちゃん、すごく可愛い声だね。いつものダウナーな秋ちゃんもいいけど、積極的な秋ちゃんもいいなあ……。

小霧はまだちょっと恥じらいが残ってる感じがいいかも。距離感の使い方も上手いし、また聴いてみたいなあ……。

やっちゃんは声の響きが綺麗。私たちのために出番を削ってくれたなら申し訳ないから、次はやっちゃんと小霧がメインのお話も聴きたいなあ。

えぇと、じゃあ最後は私かあ。私の声の感想……。

……思ったよりも低い声が出てる、かな?


【小霧・八葵】

命/めーちんはヤバい。




明日は絃葉が小学生に、そして悠心が大学生に!

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