更ける夜 グループ通話 ぬるいお茶
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明日はテスト。皆でグループ通話をしながら勉強会をしています。
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クラス順位は10位前後。平均よりちょっと上くらいの学力。
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クラス順位は15位前後。理系科目の校内偏差値がやけに高い時がある。
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クラス順位は2位前後。かしこい。
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クラス順位は25位前後。赤点はギリギリ取ったことがない。
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クラス順位は計測不能。10位前後の時もあれば、30位前後の時もある。振れ幅がデカすぎる。
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[絃葉]『熱っ!』
[命]『雨ちーどうしたの?大丈夫?』
[絃葉]『うん……ちょっと熱いお茶勢いよくいっちゃって。』
[悠心]『沸かしたてだぞ、気をつけろよな。』
[絃葉]『うん、ありがと。』
[八葵]『うーん進まん。あっ。そうだ命、課題の答え見せて。』
[命]『えぇ?やっちゃんまた答えだけ写す気でしょ。自分で勉強しないといい点取れないよ。』
[八葵]『う〜む……ここが悩みどころ。日本史苦手なんだよね〜。』
[命]『あれ?ていうかやっちゃん、もしかして課題……終わったって言ってなかった?』
[八葵]『へぇ?いやいや、やってる、やってるよ。まさか明日提出なのにまだやってないってのは流石に──』
[小霧]『さー気が散ってまいりましたー!わたしは今、10秒おきにラノベに手が伸びようとしておりますー。』
[命]『え?』
[悠心]『嘘だろ?』
[絃葉]『まだ始まって30分なんだけど……?』
[命]『小霧、課題まだ終わってないんでしょ?真面目に進めちゃおうよ。』
[小霧]『むー。続かないものは続かないんですけどもー。』
[八葵]『いや、分かるよさぎの気持ち。私も今せめぎ合っているもんで。』
[小霧]『やったー。わたしはひとりではない。』
[八葵]『そう、さぎは本当にひとりではない。なぜなら私も課題が終わっていないから!そして──』
[小霧]『おっとやっちー。それを話すにはまだ時期尚早かもー。』
[八葵]『……ふむ。一理ある。』
[命]『?というか、やっぱり課題終わってなかったの……?』
[八葵]『アハハー。』
[悠心]『うーん、八葵は今回もテストダメそうだな。前回と前々回もダメだったから、これで私の三連勝。残念だな絃葉、おまえからまた奪うことになるとは……私だって心苦しいんだぞ。』
[絃葉]『嘘だよね!?悠心いつもホクホク顔で外出てくじゃん!!!』
[悠心]『
[絃葉]『うぐぐ……』
[八葵]『なんか失礼なこと言われ……て、え?何?もしかして私で賭博してる?私のテストの善し悪しで?』
[小霧]『高校生が賭博しちゃダメでしょー。』
[命]『何歳でもダメだよ!?』
[八葵]『……ん、まさか、”お”から始まるもの賭けてないよね?』
[悠心]『?賭けてるな。』
[小霧]『……”か”から始めることもできるー?』
[絃葉]『?えーと、うん。まあできるよ。』
[小霧・八葵]『…………。』
[命]『秋ちゃん、雨ちー。大丈夫、私たち絶対に怒らないし誰にも言わないから、それ今回でおしまいにしよう?』
[八葵]『まさか絃葉ならまだしも、悠心まで加担しちゃってるとは……』
[小霧]『身内から犯罪者はちょっとねー……』
[絃葉]『んぇ?犯罪者?なにが?』
[八葵]『おぉう、そうきたか……』
[小霧]『罪を罪とも思わない、某神父もびっくりの悪だよこりゃー……』
[悠心]『罪?犯罪者?なんだよ人聞き悪いな。まあ人ん
[小霧・八葵]『……ん???』
[命]『えっと、え?えーと……あ。もしかして、ユキちゃんのおさんぽの権利を賭けてたの?』
[悠心・絃葉]『そうだな。/そうだよ?』
[命]『なんだ……よかったあ……』
[八葵]『……ん、もしかして、”お”から始まるのって”おさんぽ”?”お金”じゃなくて?』
[悠心]『そうだが?』
[小霧]『”か”はー?”金”じゃなくて……』
[絃葉]『”飼い犬との時間”。ちょっと捻くってるけど……』
[八葵]『ふ〜む。……失礼しました。』
[小霧]『われわれの勘違いでしたー。』
[悠心]『まさか。お金賭けてる訳ないだろ。』
[絃葉]『流石にお金はちょっと……そこの線引きはできてるから安心してほしいな。』
[八葵]『えらい。』
[小霧]『皆さんもギャンブルは健全な道楽だけに留めましょうねー。』
[悠心]『皆さんって誰だよ。』
[絃葉]『というかやっちゃん、”絃葉ならまだしも”って何?酷くないかな?わたしそんなにギャンブルハマりそうに見える?』
[八葵]『元はといえば私のテストの善し悪しで変な賭けしてるふたりが悪いんでしょうが!!!1,2回ならまだしも、少なくとも3回はやってたんならもうバッチリハマってるよ!!!もう禁止!!!金輪際禁止です!!!』
[小霧]『うーん、正当な怒りー。』
[命]『あはは……』
[悠心]『私の貴重なユキのおさんぽ権が賭かってるんだ。頼む……』
[八葵]『ええい無用!というかそれ、絃葉と一緒にユキのおさんぽ行けばいい話でしょうが!』
[悠心]『…………ああ!』
[小霧]『初歩的なことだよ秋月くん。』
[八葵]『なぜ気づかないのか、これが分からない。』
[悠心]『ははは。賭けが楽しくて思いつかなかった。』
[八葵]『あれ?この子の方がヤバそうじゃない?』
[小霧]『概ね同意ー。』
[命]『秋ちゃん……』
[悠心]『む……ここまで言われるなら……そうだな、今回でやめにするか。』
[絃葉]『うん。言われてみればこれ確かにやっちゃんにユキにも失礼だったと思う。ごめんねやっちゃん、もうやめにするね。』
[八葵]『うん、そうして。これでふたりにギャンブル癖がついたら私罪悪感覚えちゃう。』
[命]『皆さんもギャンブルは節度を守ってやりましょうね。』
[悠心]『命もかよ。だから皆さんって誰だよ。』
[小霧]『ちょっとめーちん、それわたしの特権ー。』
[命]『っふふ、ごめんね。ちょっと小霧の真似してみたかっただけだよ。』
[小霧]『なんだー。お茶目だなーめーちんはー。』
[八葵]『第四の壁はあんま軽々しく越えるものじゃないからね。あんまり多いと世界観ぶっ壊れちゃうから。』
[悠心]『?なんの話してるんだこいつら。』
[絃葉]『ごめん、わたし分かんない。』
[命]『私も。だいしのかべ?ってなんだろう?』
[小霧・八葵]『アッハッハッハッハ』
~~~~~~
[小霧]『で、この前あんまんがねー?』
[悠心]『聞く前から可愛いの分かるな。』
[八葵]『いやしかし、聞いてみないことには可愛いか超可愛いか分からないでしょう秋月少尉。では朧谷少佐、続きを。』
[悠心]『私こいつより階級下なのかよ。納得いかない。』
[小霧]『こほん。この度ですね、なんとあんまんが──』
[絃葉]『あ。』
[悠心]『?どうした絃葉?』
[絃葉]『どうしよ。日付変わっちゃった。もうそろそろ寝なきゃ。』
[小霧・八葵]『えっ』
[悠心]『マジか。あんまり勉強出来なかったな。』
[小霧]『やっちー。』
[八葵]『ああ、さぎ。』
[小霧・八葵]『共に夜を明かそう──。』
[小霧・八葵]『イエーイ。ハイタッチ。』
[悠心]『できねーよ電話越しなんだから。』
[小霧]『と、思うじゃんー?』
[悠心]『なに?』
[小霧(?)]『やっほーwww悠心ちゃん見てるー!?小霧ちゃんは今、私と一緒にいまーすwww』
[小霧]『ごめんね、悠心ちゃん……わたし、あんなに止められたのにまた八葵ちゃんのところに……』
[悠心]『絃葉、これNTRか?判定よろしく。』
[絃葉]『NTRな訳ないでしょ!悠心の彼女はわたしだから!』
[小霧]『そこー?』
[小霧(のスマホから喋る八葵)]『あ。悠心が男ポジになっちゃった。絃葉でもよかったな。』
[絃葉]『? どういうこと?』
[八葵]『いや、なんか絃葉のほうがヒロイックだからね。全てを取り戻しそう。』
[絃葉]『まあ、その気概ではあるけどね? いや、というか悠心はまず誰にも渡さないから!』
[悠心]『……なあ。仮に誰かに奪われたとして、私の心がおまえ以外に靡くことがあると、本気で思ってるのか?』
[絃葉]『えっ……(トゥンク)』
[小霧]『うっげー。ゲロ甘ー。』
[八葵]『深夜にあっまい惚気をまた……甘すぎてこんな時間に摂ったらお肌荒れちゃいそう。』
[悠心]『…………。』
[八葵]『自分で言って恥ずかしくなっちゃうからな〜この子!!!』
[小霧]『なんだこいつー。正直ちょっと可愛いけどー。』
[絃葉]『可愛すぎて川になって辺りで文明が栄え始めたわね……わたしと悠心ふたりが育てたイトユー文明という愛し子が。』
[悠心]『……?何言ってんだおまえ。』
[八葵]『ごめん、私もちょっと分かんない。』
[小霧]『お茶でも飲んで落ち着いたらどうー?』
[絃葉]『そうします……ぬるい。』
[悠心]『あ、ほんとだ。だいぶ冷めてるな。』
[八葵]『……お?妙だな。お茶の温度を共有している?』
[小霧]『まさか貴様らー!』
[絃葉(のスマホから喋る悠心)]『そうだよ。一緒にいるが?』
[絃葉]『ひとりじゃ勉強なんて集中できないから。悠心いてた方が集中できるもん。』
[小霧]『大義名分のもとイチャつきおってー!』
[八葵]『ギルティ。朧谷少佐、秋月少尉と雨田少将の階級をふたつ繰り上げて差し上げなさい。』
[小霧]『アイアイ元帥。任されたー。』
[悠心]『おまえ元帥だったのか!?というか個人的な恨みで二階級特進させるな!逃げるぞ絃葉!』
[絃葉]『愛の逃避行ですか……?(トゥンク)』
[悠心]『あっおいバカ。元帥さんの逆鱗に……』
[八葵]『……ふむ。もうふたつ繰り上げて差し上げなさい。』
[小霧]『アイアイ。……あ、元帥ー。雨田の階級がカンストしちゃいましたー。これ以上上げるとなると多分あなたの座が危ういですよー。』
[八葵]『む……?かんすと?』
[悠心]『突然の横文字に混乱してるじゃねーか。こいつ今教科書に出てくる近代日本史辺りの人だろ。昔の人にカンストとか言うな。』
[絃葉]『すごい。この会話、教科書の1ページの端っこに乗ってる分の情報しか勉強できない……』
[小霧・八葵]『勉強……?』
[悠心]『こいつらに勤勉の心得は無いぞ。九分九厘遊んでる。』
[小霧]『その1%が大事なんですぜ旦那ー。』
[八葵]『そうでゲス。少なからず学にはなっているでゲスよ。』
[絃葉]『…………そうだねぇ。』
[悠心]『絃葉、だいぶ眠そうだな。』
[絃葉]『うん……。』
[八葵]『ん?あれ、そういえば命は?ずっと喋ってなくない?』
[命]『(静かだが、僅かに寝息を立てている)』
[小霧]『うーむ、こりゃ寝落ちてるねー。めーちん早寝の健康ちゃんだからー。わたしたちの声は良質な睡眠導入剤だったのだー。』
[悠心]『あー。じゃあおまえらの課題、もう答え写させてもらえないな。』
[小霧・八葵]『……oh!』
[小霧]『めーちん起きてー!起きてわたしたちにお恵みをー!』
[八葵]『あなたのおかげで助かるいのちがあります!!!どうか我々にお慈悲を!!!』
[悠心]『うるさ。深夜の声量じゃないだろ。コツコツやってこなかった自分を恨むんだな。』
[八葵]『いやもうこの際悠心でもいい!見せて!答え見せて!』
[小霧]『背に腹はかえられないー!』
[悠心]『失礼過ぎるだろ。私ももう眠いから無理。おやすみー。……絃葉、ほらベッドで寝ろー。風邪ひいても知ら(通話終了)』
[絃葉]『んー……悠心、連れてって……』
[絃葉(のスマホから喋る悠心)]『あほ、自分で行け。おまえ大っきいから私ひとりじゃ無(通話終了)』
[小霧・八葵]『…………(通話終了)』
[小霧]「……やっちー。」
[八葵]「……さぎ。」
[小霧・八葵]「…………。」
[小霧・八葵]「……寝よっか!」
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