第92話マジック
下井田「総理が そこまで背中を推してくれるならば私も人生最後に悪足掻きしてみます。」
「貴方なら必ず引き受けてくれると信じていました。ハハハ」
下井田「しかし どの様な場所で講演しますか?」
「そんなの あっという間に準備するので安心してください。
それより もう少しお付き合いしてください。
今の為替160〜170YENのYEN安では国民の暮らしは苦しいです…では この国の理想の水準は どれくらいですか? 国と企業と国民のバランスがベストなのは? 」
下井田「う〜ん なかなか一概には言えないですが 恐らく120〜130YENくらいですかね…もしくは140YENくらいまでだと思います…」
「ここから20〜30YEN YEN高と言う事ですね…なかなか遠いですね…今の水準では輸出企業は儲かりますし国はYENが安ければ借金が薄まるので助かりますが やはり国民生活が厳しいですね…」
下井田「投機と実需です」
「呪術?呪いですか?」
下井田「実需です…簡単には需要と供給の需要の方です…実際の需要。 為替の投機とはトレードの事…皆が上がると思って買い 下がると思って売る事ですが 基本的には買ったものは必ずいつかは売られ 売ったものは必ず買い戻されます…利益確定するか損切りするか…いずれはプラスマイナス0になるものです…問題は実需…例えば今回は基軸通貨の$だとしますが食料でもエネルギーでも輸入の際YENでそのまま買える訳ではなく必ず$に両替して買います。
物を買ってますから そのお金は返って来ない。そこが貿易赤字になり今の為替水準に反映されるのです…」
「実需ですか…やはり根本的解決するには貿易赤字を減らすか それを上回る黒字にするしか
YEN高に戻せないという事ですね…だから何度
$YENが暴落してYEN高になっても長期的にはYEN安方向に戻って来てしまうのか…ありがとうございます。
あ〜忘れてました…一番最初に質問しようと思ってた大切な質問を…
下井田さん…国債って何ですか?」
下井田「政府の借金ですね」
「ハハハ さすがです下井田さん…やはり貴方を選んで正解でした! もしここで貴方が国の借金って答えてたら私は今回の話は全部なかった事にしようと思ってました。
そうなんですよね~国債は国の借金ではなく政府の借金なんです! 最近では さすがに国民1人あたり1000万の借金になるとか言うのは政府財務関係者くらいですがメディアでは今だに国の借金と言う…これは誘導してますよね!
国には こんなに借金があるから増税も仕方ないよね…って思わさせる作戦です…実際 借金があるのも事実で赤字ですが利益つまり黒字もある…合わせても赤字がまさるので赤字経営なのも事実ですが問題は黒字を言わずに赤字だけを言う所です…どれだけ卑怯なやり口なんですか…この国の借金は$建てではなく当然YEN建てなのでYENでの借金です…海外投資家だろうがYENに一度両替している事になる。
下井田さん…国債の内訳は ご存知ですね?」
下井田「中央銀行が50% 生損保等が18%
銀行等が11%といった金融機関と後は国内外の投資家ですね」
「はい…しかし中央銀行は国の子会社…無理に返す必要はない…しかも お金を刷れる…当然無限にお金を生み出せるわけではない…作った分だけYEN安になりますから…しかし理論上
は いつでも返せると言う事です…それより問題なのは民間銀行の約11%の方です。 民間銀行が政府から国債を買っている そのお金は誰の お金ですか?
国民の貯金です…銀行は国民から預かったお金で投資をして利益をあげて経営していますが こう考えると明らかにおかしいですよね…国民が銀行に お金を貸して銀行が政府に お金を貸している事になる。 間に銀行が挟まっていますが最終的には国民の貯金が政府に届いてる事になる。別に貯金の金額が勝手に減っている訳ではないですが結果的には また貸しってやつですね…
それを国の借金が大変だから増税します…増税して余ったから少しだけお返ししますって…
少なくとも国民は借りてる側ではなく貸してる側!国民1人あたりの借金ってのは真逆の事を
すり込んでます…国債 政府の借金の一部は国民の お金と言う事です…今までの政府が やってきたことは お金を借りてる相手に もう一度 お金を借りて そのお金で返済しているだけで元々 最初に貸した借りたの お金が いつの間にか消えてる? マジック?手品?
これは詐欺なのでは? どんなトリック何ですか? しかし この答えに多くの国民は辿り着けない…何故だか分かりますか? 」
下井田「い…いえ…」
「バカだからです! 私は国民をバカにしている訳ではありません…私も最近 答えに辿り着いただけです…この言葉のマジックに引っかかるようでは いずれまた国民は欺かれます…
そして金融リテラシー向上が必要です。
かつての様な貯金していれば安心なんて時代は
終わったんです…そんな時代に少しでも戻す事が私の今の仕事ですね…ハハハ」
下井田「総理…お金は何の為にあると お考えですか?」
「ハハハ…良い質問ですね…私の答えは こうです!
お金は使う為にある!
いつの頃からか貯金だ投資だ資産形成 将来の為に…これが常識で お金は貯める為にあることが正義かの様に語られる時代になりました…
死ぬまで一生懸命働いて節約しながら日々を暮らし老後 働けない身体になった時の為に少しでも生きる為に貯金する…
プロトレーダーや資産家の中には100億以上稼いでも自分は質素な生活をしている…みたいな事を言ってる人間もいますが、それこそ大馬鹿で迷惑です…人より税金を多く払っているから庶民より偉い? 誰かの黒字は必ず誰かの赤字なんです…使えきれないほど集めてどうするんですか? お金あるけど趣味で続けて どんどん増えました…凄い才能ですが使わないなら迷惑行為と一緒です…
一生 貯金通帳と にらめっこしてヘラヘラ笑って どれだけ根暗なんですか?
お金は頑張って働いて やっと貯まった時に自分へのご褒美に 美味しい物を食べたり呑んだりゲームでも家でも車でも買った時が一番喜びをえられる物ですよ! それが 良い社会です。
それを目指す為に貴方を選びました。
私は資産形成…いわば今の社会で必要な徹底的な防御でディフェンスよりな思考です。
かつてギャンブルもしていたので お金を使う事も好きですが それは無駄遣いです…
物欲も あまりないので
正しい お金の使い方には それほど自信がありません。
この国を復興させる為には国も企業も そして国民も本当はタンス貯金していてはダメなんです…どこかで止まれば経済成長 貿易黒字も進まない…皆が お金を使い循環させなければ
いけません。 その為には お金が使いやすい環境を作る事が大切です。
すぐには無理でも戦争やパンデミックも大震災でも全て乗り越えてきた この国ならば必ず
どんな状態からでも立ち直せると私は信じています。」
下井田「使う為ですか…まったく その通りだと私も思います…ハハハ
分かりました総理…私も全力で この国の金融リテラシー向上を実現させてみせます!
私に お任せ下さい。ハハハ」
「心強いです…ありがとうございます。
では準備が出来次第 ご連絡しますので
宜しくお願いいたします。」
下井田「最後に総理…以前言われていたサイン
コサイン タンジェントですが?」
「あ〜三角比ですか? あれは使う業界もありますね…う〜ん大工さんとかですかね? それは業界に入ってからでも大丈夫と言ってるだけですよ。皆が使わないなら皆に教えるより他を教えた方が効率いいでしょ…」
下井田「なるほど…余計な敵を作らない方がよいと思って助言したかったんですが理解していたならば失礼しました…最後にもう一つ…
本当は最初から総理は 私が話した投機と実需も理解していて知らないフリをして最初に質問するつもりと言いながらワザと最後に国債とは何か? 聞いてきたんではないでしょうか?
私を試す為に…」
「………ハハハ…どう思うかは下井田さん次第ですよ~ 答えは自分の中にあります…
ただ私が言えるのは誰よりも自分が大馬鹿って事です…ハハハ
私なんかの事より貴方は人生大逆転のチャンスを獲ました。 私は貴方が この国の金融リテラシーを上げた男…
ずっと先の未来で 新しい金融の父として新紙幣の顔になってるビジョンが うっすら見えて来ました…ハハハ
宜しくお願いします先生!」
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