第21話 希望する道
「よっし。早速なんだけど、話のすり合わせといこうか。まず俺が聞いている話としては、君が痴漢冤罪に巻き込まれたってところだ。そして、冤罪だから戦いたいという思いがある。というところまでだ。ここまでで間違っていることや訂正したいものはあるかな?」
「いえ。大丈夫です。」
「了解。それじゃあ次だね。それとつい1時間前くらいに聞いたんだけど…退学届を渡されたんだって?」
「はいそうなんです。勝手に出したりとか、書類に書いたりとかはしていないんですけど、やっぱりどうすれば良いのか分からなくて…」
「ふむ…じゃあ翔太くんに質問をするね?簡単な質問だから、そんなに身構えないでほしいな。」
「あっすみません…」
「そんなに謝らなくていいのに〜それじゃあ聞くね?魁戸からも話を聞かれたかもしれないけど、必ずしもおなじ答えじゃなくてもいいからね。」
そう言うと、少し息を吸った後眼の前の人は吐き出した。
「君はあの学校にこれから通いたいと考えているかな?それとも、なにか別の道に歩みたいなんかの希望があれば教えてほしい。もちろんまだ決まってないも大丈夫だよ。」
「希望…ですか?」
「あぁそうさ。明確な希望が有るのであればそれでよし。逆に悩んでいるようであれば、それはそれでよし。今は自分の考えが重要なのさ。でも無理に考える必要はないって話さ。」
そう言われると、少し頭を冷やして考えることが出来た。まず俺の希望…それは将来的に叶うかどうか怪しいものだが、この人は希望があればそれで良いと言ってくれた。つまり俺も戦わなくちゃいけないってことだ。
「俺は…夢があります。叶うかどうかは怪しいし、そもそも別の道に進むかもしれない。でも今はその道を行きたいと思っています。」
「よろしい。それじゃあ、その君が進みたい道というのには必ずしも学校が必要かな?」
将来の事を考えてみると、やはり高校と言うのは必要だろう。それに大学にだって通わないとかなわないかもしれない。
「そうですね…やっぱり夢の実現には、必要だと思います。高校も大学も必ず通らないといけないと思います。」
「よし。それじゃあ最後の質問だ。君は今学校に通いたいそう考えているんだね?つまりあの学校でも良いと考えているってことでいいのかな?」
「いえ…あの学校はもう…なんと言えば良いのかわからないんですが、いい思いがありません。あそこの人たちには全員がっかりしました。なのでもう良いかな…と思ってます。」
俺がそう言うと、ニヤリと笑って俺に向かってこういった。
「なんだ答えられるじゃないか。それが君の心からの答えなんだろう?つまり君は今まで通っていた学校をやめてどこか他の学校に行けばいいということさ。簡単な話だろう?」
「まぁそうかも知れないですけど…」
「確かに手続きとかは大変だし、大人の手を借りなくちゃいけないことだって有る。それに父親や母親に会いに行かなくちゃいけないってのも辛いだろう。俺が言えることじゃないが、これからも頑張っていかないといけないな。」
「そうですね。むしろここからが踏ん張りどころになると思います。」
とは言え、学校をいきなりやめたいだなんて話をすれば父親や母親は許さないだろう。むしろその場で俺のことを殴ってくるかもしれない。
仮にそうなったとしても、魁兄が止めてくれると信じているが万が一ということがある。それにそもそもそんな風にはならない可能性だってある。
「…父さんと母さんに話をしないと、結局話を進めることは出来ないですもんね。」
「そのとおりだ。君にとっては辛いかもしれないが、一度家にいって父親と母親と話し合ってみようじゃないか。やはりそういったやり取りは大切だと思うんだ。」
「まぁそうだとは思いますけど…」
やっぱり父さんと母さんに会うのは少しつらい。話したいことはあっても、どうせ俺の話は聞いてくれないんだ…という思いが勝ってしまい、話をすることが出来なくなってしまいそうだ。
それどころか、そもそも父親と母親がまともに俺と取り合ってくれるかわからない。むしろ俺の事を連れてきた魁兄達の事を邪見に思い、なにか仕掛けてくるかもしれない。
「大丈夫。なにがあっても俺と、魁戸が守ってやる。それに、俺を含めて弁護士が行くんだぞ?お前の父さんと母さんだって下手に無視をしたりはしないだろうさ。君の伝えたいことをしっかりと伝えられるチャンスだよ。」
俺の伝えたいことをちゃんと言えるチャンス…これを逃せば、次いつ来るかなんてわからないs。それどころか、次のときにはもっとひどい状態になっているかもしれない。考えてみれば今話をするのが一番いいのかもしれない。
「…わかった。俺、家族と話してみたいです。でも、やっぱり心配で…」
「それだけでも聞けてよかった。もちろん今すぐというわけじゃないし、すぐに行くつもりはないから安心してくれ。君の事を少しでもサポートするべく、証拠をしっかりとまとめてるんだ。それが完成次第、話を持っていってみないかい?」
「助かります。」
「任せておいてくれ。俺にかかれば、証拠のまとめたものくらい簡単に作ってあげようじゃないか‼」
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