第19話 両親について
「さて…それじゃあ他の話題も話そうか。次に話すのは翔太の両親についてとかでどうだい?」
「うん。俺もちょうど知りたいと思ってたんだ。でも、やっぱり聞きづらくて…」
「そうだよな。それじゃあ、翔太の両親が今どんな感じになっているのかを順を追って説明をしていくね。まず慰謝料を支払ったのが今から一週間くらい前で、正直言って支払いをしなければもっと簡単に問題を解決できたかもしれないね。」
「そうなの?」
「まぁね…取り敢えずは俺の話を聞いてくれ。翔太の両親は、今は会社のことで奔走しているようだ。先輩に確認してもらったんだけど、結構大変そうなんだ。」
「どういうことですか?」
「ちょっとね…社長だから、今回の件で色々と追求されているらしいんだ。もちろん翔太が悪くないって大多数の人は思っているみたいだけど、それでも一部の人からは言われているみたいでね…」
「そうですか…」
「そんなに気を落とさなくても大丈夫だよ。だが1つ懸念が有る…これを見てくれ。」
俺の目の前に出されたのは、なにかの声明のようなものだった。
「これ…は?」
「少し覚悟して聞いてくれ。報道では君の名前は避けられていたけど、ネット上では結構な事が言われてるんだ。君だというのを明言されたものはないが、この声明を出したせいでほとんど君のことだと割れてしまったようだ。」
よくよく見ると、謝罪文のようななにかは俺のことについて少し記載されていた。
「ねぇ…俺どうすればいいの?」
「安心しろ。もう先輩にも頼んで色々と動いているんだ。それと今日の内に来てくれるはずだから、待ってて。先輩は必ず君の味方になってくれるよ‼」
魁兄がそういうのなら…と思い、俺はその先輩という人も信頼することにした。だが完全に信頼する訳にはいかない。
そうこうしているうちにも、時間は経ち俺は魁兄から満足いくまで話を聞くことが出来た。
先ほどの話以外にも、分かる範囲でどんな状況になっているのかを把握することが出来たので、これからに大きく役立ってくれることが期待できる。そしてここからが問題だ。
「えっと…俺の事を取り押さえてきたあの人ってどうなったの?」
「あぁあの人ね。別にアイツのことは気にしないで。」
「いや気になると言うか…」
「気にしちゃ駄目だよ。ね?」
「うっうん。わかった。」
魁兄の有無を言わせないような圧を感じたので、俺はすぐに話題を変えた。
「じゃあその先輩っていう人はいつ来るの?かれこれもう1時間くらい経ったけど…」
「心配しなくてもすぐに来るよ。先輩と昨日の内に話をしてあるから、そんなに心配しなくても大丈夫さ。」
魁兄がそういうなら…と思い、待っていると不意にインターフォンが押された。俺はインターフォンの応答をする画面に近寄ってみると、魁兄よりも少し大人な感じの人と後ろに俺と同じくらいの歳の女の子が居た。
「魁兄この人たちであってる?」
「あっそうだよ。今開けるから待っててって伝えてくれない?」
「わかった。」
俺は魁兄に言われた通り、今開くことを伝えた。魁兄がすぐに玄関の扉を開けると、魁兄と先輩と呼ばれている人は話し始めた。
「こんにちは先輩。そちらの女の子は?」
「あぁ。こっちは再婚した妻の子供でね。1人残すのもどうかなって思ってスーパーの買い物をこの後頼もうと思ってたんだ。この子の名前は紗奈って言うんだ。」
「へぇ…紗奈ちゃんっていうんだ。よろしくね。」
「いつも父がお世話になっています。父は迷惑をかけていないでしょうか?」
「すごい礼儀正しいんだね。びっくりだよ。」
「あはは…ちょっとまだ完全には信頼されてないようでな。紗奈頼んだものお願いするね。」
「わかりました。買い物してきたら、ここに戻ってきたほうが良さそうですね。多分20分くらいで買い物終わるので、それくらいに終わると考えておいてください。」
「了解。それじゃあ頼んだね。」
そう言うと、紗奈と呼ばれている少女は玄関の扉を開けて再び外に出ていった。
「よし。それじゃあ話をしようか。君が例の子だね?」
「はい。菊池って言います。」
「こちらこそよろしく。取り敢えず大体の話は聞いているんだけど、やっぱり本人からも事情を聞きたくてね。話してもらえるかい?」
「俺に出来ることであれば。事情を説明すれば良いんですか?」
「あぁ。もちろん話したくない内容を強制させたりとかはしないから安心してくれ。話したくない内容があれば、そっちの魁戸にでも話しておいてくれ。」
「いえ大丈夫です。それよりも…先に1つ聞いても?」
「構わないよ。何を聞きたいのかな?」
「その…名前を聞いていないので、名前を教えていただければ…と思いまして。」
「あぁそういうことね‼確かに自己紹介がまだだったね。俺の名前は前田零斗って言うんだ。これからよろしくね。」
「よろしくお願いします。それと手助けしてくれてるって聞きました。ありがとうございます。」
「良いの良いの。俺はやりたいことをしてるだけだからさ。気にしないでくれると嬉しいな。」
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