第17話 あなたがなぜ、呼ばれたのか、分かるわね?
隠そうともしない派手な足音で嫌な予感はした。
ノックもせずにバタンと扉を壊さんばかりの勢いで開けて、入ってきたのは誰かなんて、顔を見なくてもすぐ分かる。
絵を描く手を止めて、見上げたら思っていた以上に怖い顔をしてることにビックリした。
ユナは
ただ、性格のきつさが顔にも出てしまったと分かるくらいに勝気な顔立ちをしてる。
今、あたしを睨んでる顔は勝気とか、そんな生易しいものじゃなかった。
目を吊り上げて、
こんな姿を見たら、ユナのことが好きな
「エミー! あんたって子は何をしているのよ。すぐにいらっしゃい! 皆、待っているわ」
「は、はい」
有無を言わさないって、こういうことを言うんだろう。
イヤッ! なんて言ったら、ビンタされそうな怖さがあったのでつい頷いじゃった。
リビングダイニングに着くと全員揃ってた。
ただし、
彼女は長く仕えているから、家族同然とはいえ、家族ではないのに?
「エミー。あなたがなぜ、呼ばれたのか、分かるわね?」
「何の話でしょ? 分かりませんけど」
俯き加減で目の端に薄っすらと涙を溜めて、悲しそうなお母様にそう言われるけど、何の話か、分かんない。
いや、ホントに分かんないんだけど。
「エミー。正直に言った方がいいと思うわ」
マリーまで憔悴したように疲れ切った表情をしていて、変なことを言う。
何なの?
あたしが何か、したような前提で話が進められてる気がする……。
「あんたしか、いないでしょ! こんなことするのは」
ユナが指差した先にはマリーがデビュタントで着る純白のボールガウンがある。
何かの染料をかけられたのか、あちこちに赤や青の大きな染みが出来ていて、薄いレース生地の部分、それに袖と裾が鋭い刃物のようなもので切られてる。
とてもデビュタントで着られる物じゃない。
誰がこんなことしたの?
お母様とマリーが恨みがましい視線を向けてくる。
ユナは憎しみの篭った恐ろしい視線を向けてくる。
あたしが疑われてるってこと?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます