第7話、長い生涯にあなたがなした働きとは何であったか

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明日起きたら、書いたこと自体消そうと思うほど「音楽家」が怖かった。本気で情動について考察を書かなければならないかと思うほど、動揺している。


それにしても「ファン心理」か。共感性のようなものなのか。叩き割った曲を聴いた時に、まさか書いた文章が読まれているのかと、一瞬、頭によぎった。


普通にそんなことはある訳がない。こんなどマイナーな文章などありふれている。というよりこの「音楽家」様に関する文章は、それこそ真砂から星を取り出す如く凄まじい量がある。


調べ物が比較的得意で一時は一分野とはいえ調べることを専門にしていた俺でさえ、ざっくりこの「音楽家」を調べるのに1週間はかかった。


つまり簡単には追いきれない量がある。しかも俺の書いたものは名前を入力していない。エゴサで見つけられたら「河野太郎」氏レベルである。というより探している時間があるとは思えない。ファンクラブの書き込みが限界だろう。


なのに一瞬でもよぎった時点で「ファン心理」が働いていると考えられる。別の意味で人間の心理状態が怖い。俺は壊れていてもその壊れ方はしたくない。


相変わらず「音楽家」はステージ上を見ている限り、礼儀正しく謙虚な振る舞いだ。指揮者との昔話や改めてオーケストラの方々にも感謝している。


また指揮者とはお互いに褒め合っている。司会者とも仲が良いようだ。


そう、こうして改めて観ていると普通に年長者として立ち振る舞い真面目に見える。そこまで「傲慢」でエキセントリックな人物に見えないから不思議だ。


いきなり観客席にいる有名人とやらに呼びかけている時などは悪戯に成功したみたいな表情だったが。


本編終了。相変わらずステージから出る際にも一礼している。癖、なのか?礼装しているからか余計にきちんとして見える。


アンコールでの再登場。司会者と指揮者とまとめて出てきた。きちんと指揮者を立てている。


時間を見れば21時を回っている。

よくアンコールに応えたな。


司会者はアンコールは一曲のみだと告げている。最後の曲だと。時間的にそうだろう。


「音楽家」は久しぶりに歌うと言っている。どうやら昔の曲らしい。急に前や左右の方々が手を上げて手拍子を始める。


曲は相変わらず全く知らない。だけどこの曲は祝いの曲なのだろう。乗っている感情はおそらく「祝福と感謝」。


手拍子がうるさくて歌詞もよくわからないが、ただ周りの人達が幸せそうだったのが、酷く印象的だった。

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