十浴目『雪交』

吐息は白く

それをまた吸い込むと

喉が、肺が、身体の中心が

冷えてくるのがわかった。


私は妄想することが

好きだから


寒さを凌ぐために

一つの雪物語を広げた。


誰も足を踏み入れていない

雪原の中で

もし、熱い身体で抱き合ってみれば

どんな心地がするだろうか


荒い呼吸と、

ひらかずにはいられない

口の中で

散らつく雪を溶かしながら


戒めを解いた

身体を好きに投げ出して

雪の上に交わりを描く


すべてが終われば

裸のままで眠り、その上に雪が積もる

春になったら

雪解けとともに起きるのだ。


私は自分が、大人になり過ぎた

マッチ売りの少女にでも

なったような心地がして

少し、照れくさくなった。



     Fin.





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