十浴目『雪交』
吐息は白く
それをまた吸い込むと
喉が、肺が、身体の中心が
冷えてくるのがわかった。
私は妄想することが
好きだから
寒さを凌ぐために
一つの雪物語を広げた。
誰も足を踏み入れていない
雪原の中で
もし、熱い身体で抱き合ってみれば
どんな心地がするだろうか
荒い呼吸と、
口の中で
散らつく雪を溶かしながら
戒めを解いた
身体を好きに投げ出して
雪の上に交わりを描く
すべてが終われば
裸のままで眠り、その上に雪が積もる
春になったら
雪解けとともに起きるのだ。
私は自分が、大人になり過ぎた
マッチ売りの少女にでも
なったような心地がして
少し、照れくさくなった。
Fin.
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます