Sujet à déterminer.

ゆきのともしび


自分の存在を、立場を、感情を

なにかにカテゴライズするのが好きではない


私は27歳で、世の中にはアラサーと名乗る者もいるのだろうが

その言葉は使わないと決めている


今朝フェイスブックをみていて、たまに流れてくる企業かなんかの記事で

「子供部屋おじさん」という言葉をみた

社会人になっても実家で暮らすひとのことを指しているらしい

なんて残酷なことばなのだろうか

一体何のために、だれが、いつ、そんなことばを生み出すのだろう


それとも、わたしには残酷と感じるけど、

多くのひとには残酷と感じないのだろうか

刺激の強い言葉を生み出すことが、もはや快感になっているのだろうか



わたしにとってこの世界は、

刺激が多いことだらけで、

外に出れば耳を塞いでしまいたいことだらけだ


実際に耳栓をして街を歩いているけど、

それは私が感覚過敏を持っているからなのか

こころが繊細だからなのか

あるいはぜい弱だからか

社会が強すぎるのか

暮らす場所が都会だからなのか



その要因は一向に見つけることができない



ただ確かにいえることは、

自分の感覚をぼやかし、多数に合わせて生きていたころよりも

こころに合わせて生活できている ということだ

そして、同じようにちいさなかすり傷を感じているひとが、目を凝らせば存在している、ということ



こんなわたしの生活の仕方が、

めんどくさい、変わってる、おかしい

と思うひともいるかもしれない


「感覚過敏」「発達障害」


という箱のなかに入ってしまえば、

大きな道に沿って生きていけるのかもしれない



でもその箱って

一度入ってしまったら出るのはものすごく大変で

そしてその箱の底には

甘く心地よい液体がちゃぽちゃぽと入り

なかなか出ることが難しいのだ



その甘い液体に浸かっていれば

わたしは多くのひとからはみ出さずに済むし

かすり傷を負うこともないのかもしれない



目の前に並べられたその箱に、足を踏み入れるか入れないか

それはあなたのこころが決めることなのだ



今のところ、私の目の前に置かれている箱は


「27歳」「にんげん」


という箱だ



女とか男とか、そういうことに分けるのも

あるいはそういう目で見られることにも

もうつかれてしまった



このふたつの箱が、甘い香りを漂わせ向こうから手招きしているが

わたしは息を止めて、かさぶたを守りながら、

逆方向に歩こうと日々奮闘している



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