第28話 【朝活】僕より弱いヤツに会いに行きます 5
『真白最強!!!』
『鳥肌立った』
『祝いじゃああああ』
『羊川さん一年目ってま?』
『おめでとう』
『一年目がスタミナ切れ知らないってどう言うこと』
『魔力調整に才能全振りされてるから』
『耐久配信やっている時点で実は凄い才能の持ち主。ゴブリンはしょぼいけどな』
『このチャンネル。ゴブリンとスライムが準レギュラーだからな。だから伸びなかった』
『オークを見るとラッキーな気分になれる』
『わかる』
『安牌取りすぎなんだよな。安心して見れるけど』
『それな』
全ては追い切れないがお祝いのコメントもいっぱいある。それでもたくさんの方が応援してくれている。それが実感出来て嬉しい。
「ね。真白は凄いでしょう」
リンドヴルムさんがカメラに向けて微笑みかけた。誇らしげに綺麗な顔で微笑むのは反則だ。
油断していたからか、いつもよりも攻撃力が高すぎる。急いでスマホから視線をそらすとリンドヴルムさんの声が聞こえた。
「あっ、お赤飯じゃなくてお寿司がおすすめです」
お寿司? なんだろうリンドヴルムさんの方をみるとカメラに向かって話していた。リスナーさんにコメントに返信していたんだ。
『お寿司www』
『真白リスナーの常識だなw』
『わかった。つぶったーに寿司の写真をあげとく』
『タグある?』
『タグ』
『タグ頼む』
タグ。と言ってもすぐに思い浮かばない。うーん……ケンタウロス討伐! とかかな? よし、リスナーさん達に言ってみよう。
「今日のタグは真白レベルアップですね。レベルアップはカタカナです。最後にびっくりマークを全角で一個つけてください」
私が話す前にリンドヴルムさんが話した。タグまで用意していたんだ。手際が良いな。ケンタウロス討伐よりは良さそうだし。良いか。
『おk』
『真白レベルアップ!』
『タグサンクス』
『真白レベルアップ!』
『真白レベルアップ!』
そのままコメント欄にリンドヴルムさんが作ったタグが流れる。なんかこの一体感。良いな。
「レベルアップします」
『おお』
『ふぁいお』
『感慨深いな』
嬉しくてそのままコメントに向かって言うと、更に勢い良くコメントが流れる。テンションがあがってくる。これなら少し休憩したら戦えるかもしれない。
「リンドヴルムさん。もう少し」
「ダメです。今日の配信はここまでです。あっ。ほらこのコメントを見て下さい」
リンドヴルムさんに伝えようとしたが、その前に一蹴されてしまう。
今ならいける気がするのに、何とか説得できないか考えているとリンドヴルムさんが何か企んでいるような表情に変わる。そのまま何かをタップした。
なんだろう? リンドヴルムさんに言われたまま、そのコメントを見るとキリヤさんの名前とアイコンが一番に目に入った。
え? キリヤさん!
『ケンタウロスの討伐おめでとうございます。スタミナ切れは休めばきちんと治りますが、無理をすると長引くので今日はしっかり休んで下さい』
キリヤさんだ! 私の配信を見ていてくれたんだ。おめでとうって私にだよね! 嬉しい。
「キ、キリヤさん! ありがとうございます! 今日はしっかり休みます」
「はい。その通りですね。真白。今日はもう帰って休みましょう」
急いでスマホに向かってキリヤさんに返信すると私に続いてリンドヴルムさんの声が聞こえた。スマホ画面に映るその表情はとても良い笑顔をしていた。
『あ』
『あ』
『キリヤの一声』
『これには真白ちゃんも大人しく帰還か』
『キリヤサンクス』
大人しくはいと言うとリンドヴルムさんがしたり顔で私を見る。
「ふふっ。そろそろ配信を終了しましょうか」
「はい。リンドヴルムさん。もうキリヤさんは巻き込まないで下さいね! キリヤさん。ごめんなさい」
キリヤさんを巻き込んでしまって申し訳ない。そのままカメラに向かって伝える。キリヤさんからもしかしたらコメントが戻ってくるかもしれいない、一応コメント欄を見るとコメント欄は全く動いていなかった。
『キリヤ俺も謝っておく。ごめん』
『キリヤさん。ごめん』
沈黙の中ぽつぽつとリスナーさんのコメントが流れ始める。あっ。やばい。
『気にしないで下さい。一年目だと大変な事が多いですが、頑張って下さいね』
キリヤさんのコメントが流れた。気にしないで下さい。キリヤさんは優しいな。それに頑張って下さいって。応援してくれた。
「は、ひゃい! あ、ああありがとうございます」
「真白。良かったですね」
「はい。キリヤさんに頑張ってって言って貰っちゃいました」
リンドヴルムさんも嬉しそうに笑ってくれた。リスナーさんにも伝えよう。コメント欄に視線を移動するとたくさんコメントが流れていた。お祝いしてくれているのかな。
『てぇてぇ』
『てぇてぇ』
『えがったな』
『彼氏』
『リンドヴルムの彼氏感is何?』
『推しの話を聞いている彼氏じゃん』
ん? 彼氏? もしかして、このままだと配偶者欄が奪われる。急いで否定しないと。
「彼氏じゃないですよ。ペット。いや、眷属です」
その前にリンドヴルムさんが言った。ペット? 眷属? 私に恋をしているって言っていたのに否定をするの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます