宛先のない手紙

漂う大海に流されるその手紙は

見つけてもらうことを知っている

叩く音はこだまとはならず

受ける振動は自分の想いだ


届けとは願っていない

なぜならすぐに見つけてもらうことを

宛先のない手紙は知っているからだ


書かれていないことは

書かれていることよりも遥か先


技は斜めに落としたり

手紙は斜に構えたり

想いは深く抉ったり


露呈して泣きたくなることもあるけれど

それは泣けばいいだけの話で


宛先のない手紙を受け取りましたか?

それはあなた宛のものですか?


確かめなくていい

それは正しいから


間違っててもいいけど

だってそれは正しいから


返事を伝えたいのなら

空を仰げばいい


青空も

雨空も

暗闇も

晴天も

まぶたの裏の

星空も


返事を伝えたいのなら

今を生きればいい


きっと誰かがみてるから

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