第52話 キャンプ最終日

 その後大吾さんと色々語り合った


 夜になろうとしてる事もあり大吾さんがキャンプ地を探そうとしていたので、隣に設営すれば良いと説得、ソロキャンプではなくなったが彼との会話は面白く、ついつい長話をしてしまい夕食が遅れてしまった


「すいません長話になってしまって」


「なら夕食は材料出し合って一緒にするとしようか?」


 一も二もなく賛成してお互い材料を出し合う事に


「うお、これ凄いいいとこの肉だろう、マジで良いのか?」


「勿論です、ニジマスも1匹取れましたので頂きましょう」


「待て待て、野菜は大学で農学部の奴から貰ったのがある、ミソも持って来たからこれはちゃんちゃん焼きにしようぜ!」


 お互いが持ち寄った素材を活かして絶品キャンプ料理を楽しむ、これは誠司に見せなきゃと思い写真に残すのも忘れない


「くそ〜、これでビールが飲めないのは辛すぎる!」


「ワハハ、学生さんに呑ます訳にはいかないからな、これは成年したものの特権って奴よ!」


 食事も終えお互いコーヒータイムに、大吾さんは自身の大学での話をしてくれた、◯田大学は自由な学風で様々なサークルがあり、そんな中で大吾さんは自由歴史研究会に入ってるそうだ、研究内容はほぼなんでもありとの事でキャンプも研究活動の一環との事


「へ〜、面白い所なんですね〜」


「ま〜な、3流大学なんて言われるが自由な学風につられ所謂研究馬鹿も多いとこで中には博士号取った奴なんてのもいるぞ〜」


 面白い、大学なんて美和子さんからせっつかれても行く気は無かったんだが此処なら面白そうだな!


 その日はお互いのおもしろ話に花を咲かせた、俺がカザマテイオーのオーナーだとうっかり話をしたら滅茶苦茶驚いた後、合わせてくれ〜と懇願されたりもした


 お互いいつの間にか寝ていた翌日、寒さで目を覚まして2人で朝食を取った後は食材の調達の為、釣りや野草の採取をしてのんびりと過ごした、結局2日目も大吾さんと色々と面白おかしく語り合ってたらあっという間だった、こうして俺の二泊三日のキャンプ生活は終わりを迎えたのであった


 大吾さんも手伝ってくれ道具関係を管理場の駐車場に置き迎えを待っていると


「よう大輔、迎えに来たぞ!」


 由佳さんが到着したのだが


「ずっと前から愛してました! あ〜、僕はも〜、僕はも〜!」


 いきなり由佳さんに飛びつこうとする大吾さんに思わずツッコミを入れる


「え〜い、やめんか〜!」


 ドン引きする由佳さんが


「大輔、この馬鹿誰?」


 俺が自己紹介する頃にはすっかり平静を取り戻した大吾さんが


「失礼しました、余りに美人だったものでつい、申し遅れました私、富樫大吾と申します!」


 いきなりキリって決めてももう遅いと思うんだ


「はあ、私は大輔の叔母の風間由佳です、よろしくお願いします」


「ってアンダードッグのYuKaじゃないか? 俺もの凄くファンでした、結婚を前提にお付き合いください!」


 サクッとプロポーズすんな!


「あら、ふふふ、すいませんもう結婚しておりますので」


 ファンと聞いて気を良くしたのか薬指を掲げ丁寧にお断りする由佳さん


「そんなこったろうと思ったよ、ちくしょ〜め〜!」


 どん底に落ち込む大吾さんを白い目で見つつ


「まあそういう事ですので諦めて下さい」


「どこにいるんだろうな、俺の青い鳥は?」


 知らんがな、とりあえず落ち込む大吾さんとは連絡先を交換してお別れだ


「また連絡するんで、その時は大学見学させて下さいね!」


「おう、大輔も今度テイオーを見せてくれる約束忘れんなよ!」


「「それじゃあ、また」」


 お互い名残惜しくも別れを告げた、そんな俺を見ていた由佳さんが


「珍しいな、ボッチ属性の大輔が初見の人とあんな仲良くなるとは?」


「ボッチ言うなし、そうだな〜、大吾さんとはなんか波長があったのもあるけど、良い人なんだよ」


「ふーん、なんか大輔と似てる気がする」


「似てる! 何処が?」


 ギャー!ギャー!喚きながらキャンプ場を後にするのだった

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