85 無才の冒険者 その85

 こうして、早々に撤退したラハクとフォスたち……尚、ラハクはフォスに抱き抱えられ、眼下の地形が猛スピードで流れていくのに耐えられずに、今はフォスの方を向いている(フォスはご機嫌になった!)

 他のメンツ?……飛べないので意識を落としてフォスのストレージに入ってるよ。流石に背中に乗るとか不敬だからってさ……

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──かれこれ1時間飛びっぱなしなんだけど……此処ここ何処どこ?──


 最初に降り立った場所に比べると、だいぶ暖かい場所に来たんじゃないかと思う……凄い速度で飛んでるので寒いは寒いんだけどね。


「フォス、ちょっと止まって貰える?」


「え? あ、はい……ちょっと待っててください」


 急激に速度を落とすと色々問題があるということで、徐々に速度を落として貰って……終に停止した。空中でだけど……



「此処は……何処だろう?」


 見た感じ、最初の荒野で何も無い平原とは違う……と思う。


「もう少し低い場所に移動して貰ってもいい?」


「……見えませんか?」


「うん、ちょっとね……」


 仕方ないと嘆息され、徐々に高度が下がっていく……やがて、地面に人が居るさまが見えるようになってきた。だが、それはあちらからも見えるという訳で……


「豆粒みたいだけど、人っぽいのが見えるね……」


 獣人などの人外かも知れないけど、2足歩行で立って歩いているモノが見えた。流石に余り空を見ながら歩いている者はそうそう居ないのか、こちらに気付かれることはないんだけど……


「んーー……あれって建物かな?」


 西の方角に周囲をぐるっと囲った城壁のような物が見える。恐らくは典型的な街だろう……中央付近には大きな建物の尖塔が見える……とそこでフォスが口を開く。


「……見られたようです。急速回避します!」


 フォスはくんっと少しだけ浮き上がるとラハクをぎゅっ!……と強く抱き、そのまま斜め下の方向へと急速下降を開始するのだった……


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ラハク「なぁっ!? ななな、一体何がっ!?」

 いきなり強く抱きしめられ、顔に柔らかくて、「ドたぷん!」な物が2つへばりついて呼吸困難になるラハク(笑)

フォス「緊急事態故、失礼します!」

 と、街道から数km離れた草原の近くの森へと緊急着陸して……

ずどどぉんっ……!

 煙が立ち上がり、小型のクレーターを作ったフォスは、そのまま低空を飛行して撤退するのだった……取り敢えず森の中へと……

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