掃除警察
====== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。
中津(西園寺)公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
泊(根津)あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
中津(本庄)尚子・・・弁護士。主に中津興信所、南部興信所関係の仕事を依頼している。事実婚だった、中津警部と結婚。通称で仕事をしている。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
午前9時。中津興信所所長室兼会議室。
「凄いこと言うなあ。御殿場たか子。ランプ元大統領が狙撃されたことで、ランプ票が増えるだろう。ランプは死んだと思われた。けど、怪我で済んでしまった。ランプの票は『プラスアルファ』になるだろう。ビーデン現大統領押しが丸見えだね。」
新聞を畳んで、中津は言った。
「似たようなことがありましたね、所長。あの時は、電波オークションが行われる前で、元NHKのアナウンサーが民放の局のワイドショーとかで、自分が支持していない大統領候補が狙撃されて、現大統領の票が少なくなるって言って、ネットで炎上、詰まり大騒ぎになった。正直と言えば正直だけど。MCなんだから、公平に報道すべきだろうって、突っ込まれるのは当然ですよ。」と高崎が言った。
「阿倍野元総理が暗殺された時も、あからさまに笑った奴らがいた。『ひとでなし』、は後を絶たない。困った世の中だ。」と、中津は言った。
そこへ、玄関を開けて、本庄弁護士がお客を連れてやって来た。
公子と根津は、お茶の用意をした。
「花火が騒音?信じられない。」と、中津は言った。
「前に、公園の音がうるさいとか、除夜の鐘が煩いとか言ってた馬鹿がいたでしょ?最近、煩く言われて中止になる所が多いの。大きな花火大会は、あまりないけど、地区の懇親の為の花火なのに。で、この方は、高齢者懇親委員会の会長の大曲さんなの。以前から懇意にして頂いてて、相談を受けたの。」
「今まで、こんなことは無かったんですけどねえ。5つの介護施設の代表で、入居者を楽しまそう、って事で、コロニーが終ってから、毎年やって来たんです、勿論、業者さんはプロですし、失火はあり得ない。期間も時間も限られている。終ったら、どこかで見学した人がゴミで汚すかも知れないので、徹底してパトロール、『掃除警察』をしているんですよ。近隣地区のご理解を得て実行しているのに、『うるさいから止めろ』なんて理不尽なことをNPO法人が・・・。」
大曲が泣き出した。
「そこで、君たちの使命だが・・・。」と本庄が言い出すと、「NPO法人の環境、人間関係を洗い出せ、ですね。指令。」と、中津が応えた。
午後1時。NPO法人『輝く7つの希望の会』の支部近く。
答は、思ったより早く出た。この組織は、花火の打ち上げ場所のすぐ近くだ、河と藪で隔てているが、この組織の目の前の広場から少し離れて、別荘らしき建物がある。
泊と根津達は、近所の人が、この両方の組織に出入りしている人物を目撃していることを突き止めた。
高崎と公子達は、河原の藪を通り抜けると、この広場に出ることを確認した。
「何をしている?」と、後ろから寄って来た、いかにも筋者の男が高崎に言った。
「輝く7つの希望の会の支部に来たら、道に迷っちゃって。」
「嘘をつくな!」と男が拳銃を抜いた。
「良かった。ただの拳銃で。」と言いながら、高崎は公子と。男をねじり上げた。
『輝く7つの希望の会』の支部と、男が出てきたと思しき別荘に、夥しい警察官が雪崩込んだ。
泊達、高崎達と合流した中津兄弟は、じっと見ていた。
「大捕物だな、アニキ。行かなくていいのか?」と中津が言うと、「ああ、今回は矢野が仕切ってる。俺も尋問は付き合うけどな。」と、中津警部は言った。
「結局、うるさいのは、花火じゃなくて、ドンパチだったか。」と高崎が言うと、「高崎、洒落たこと言うようになったか。EITOの馬越の影響か?」と中津警部は言った。
「アニキ、こんなところで尋問するなよ。」と、中津健二は笑った。
他のメンバーは、目を白黒させていた。
―完―
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