第62話 蟹尽くし
「ただいまー」
丸岡城から旅館に戻ってきた。
泊まってる場所はグランディア芳○ってとこ。
お一人一泊8万円ぐらいする中々に高級な旅館なだけあって、物凄い綺麗。
「どうだったの?」
「あ、酔っ払ってない」
既に部屋でくつろいでいた両母親。
一応部屋は二部屋取ってあるが、四人で居ても普通に広い。寝る時と部屋風呂に入る時ぐらいしか活用しなさそう。部屋に露天風呂もついてるんだけど、大浴場も写真で見た感じ滅茶苦茶綺麗で気になるんだよねぇ。
「流石に夜までセーブするわよ。私だって蟹を楽しみにしてるんだから」
「最近の体たらくを見てると信用出来ん」
ずっと家でグータラしてるんだから。この前渡したちょっと早めのクリスマスプレゼントを是非とも使って頂きたい。とりあえずジムに体験で行ってもらおう。
その後は東尋坊やら、丸岡城の事について話しつつ、部屋でまったりと。
四人でお菓子を食べながら黙々と『ギルドウォー』をするのは中々シュールな光景だったんじゃなかろうか。
「蟹! 蟹! 蟹!」
「ちょっと落ち着きなさいよ」
いよいよ晩御飯。
初日は蟹尽くしである。
焼きガニ、蟹しゃぶ。
もうこれでもかってぐらい蟹である。
「「「「………」」」」
これ、なんだろうね。
蟹を食べ始めると無言になる現象。
名前とかないの? 別に無言じゃなくても食べれるのよ? なんか蟹を食べ始めると、一気に喋っちゃいけない雰囲気になるんだよな。
黙々と。それはもう黙々と蟹を食べる。
美味い。プリプリの身にポン酢をちゃんとつけて一口。はい優勝。美味くない訳がないじゃんね。
続いて焼きガニ。
水分がしっかりあって、パサパサせずにホックリと仕上がっている。まずは塩味で頂く。
はいMVP。実がぎっしり入ってて食べ応え抜群であります。
「あー美味しかった」
「ほんとねぇ。最高だったわ」
蟹を食べ始めて1時間程が経った頃。
一通り食べ終わって、ようやくお喋り。
梓は感無量って感じでしみじみと。
蟹が大好物だもんね。
「お酒が進むわ」
「蟹と日本酒の組み合わせは素晴らしいわね」
あの二人はもうへべれけだ。
カパカパと蟹をアテにお酒を飲んでいる。
程々にしてくださいね。本当に。
「じゃあ俺達は部屋に戻るよ」
「早めに切り上げてよね」
「「はいはーい」」
そろそろお開きということで、俺と梓はもう一つの部屋に戻る。
未だにお酒を飲んで喋り倒してる二人に程々にするように言って部屋へ。
「部屋に露天風呂ついてるって最高だよな」
「そうね。眺めも良いし」
そして二人で風呂へ。
梓は髪が湯に浸からないように、纏めてるんだけど、うなじがもう素晴らしい。
俺の性癖を刺激して仕方ない。
「あぁ〜」
「おっさんみたいな声を出さないでよ」
仕方あるまいて。
回帰前は40目前だったんだぞ?
それに温泉に入るとこういう声が出るのは、なにもおっさんだけではない。
日本人なら絶対に出るはずさ。
「次、旅行に行けるのはいつになるかねぇ」
「卒業旅行とかになるんじゃないかしら?」
「その頃には車もあるだろうしなぁ。行ける範囲が広がるな」
「曽川君と…仕方なしに新田を誘っても良いわね」
哀れ新田。仕方なし扱い。
あいつも良い奴なんだけどね。初手で梓を口説きに行ったのが失敗だったな。
いや、男ならこんな美人口説かずにはいられないと思うが。ちょっと同情しちゃいますな。
「梓は仲の良い女とか誘わないの?」
「うーん…。一人誘うと歯止めが効かなくなりそうなのよね…」
その辺はめんどくさそうだなぁ。
あの子は誘われたのに! とか言われて泥沼展開とかになりそう。梓はみんなと万遍なく仲が良い八方美人タイプだ。
俺もなるべくそうしてるけど、曽川君みたいに特定の人と滅茶苦茶仲が良いってのはない。
「まさるも誘ったり出来るかね」
「向こうの予定次第じゃないかしら?」
そんな事を話しながら旅行の夜はふけていく。
勿論その日、ハッスルしたのは言うまでもない。
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