抜け駆けへのお仕置き 六日目 (八の日)
親愛なる我が従弟殿。
まずは今日、私に供された食事を書こう。
・カブの酢漬け。
・
以上。
……べつにここが僧院だから質素という話じゃないんだ。国中から寄進が集まるケンプフェリアは、基本的に裕福だからね。
何より、昨日あれほどたくさん煮られていた
貯蔵用だと言われればそうだろうけれど、ああいうものは作った直後、一度くらいは食卓に出されるものじゃないかと思うんだ。……というか、私の席に無いだけで、広間全体には他の料理の匂いに混じって、昨日と同じ林檎の香りが漂っている。
そう、私にだけ、出されていなかったんだ。
あからさまに私の前がやけに寂しいテーブルを見渡してから、後ろに控えていた従者のオーリチに「これだけ?」と訊いてしまった。彼はじろりと私を見下ろして、「貴方は昨日召し上がったでしょう。抜け駆けして」と答えたんだ。
オーリチは
一生酢漬けだけ食べていろ、とでも言いたげな口調だった。
林檎に加えてしっかり肉まで抜かれているところに、彼の怒りの深さが見て取れた。
……ほとんど野菜の酢漬けしか食べてないから、もうお腹が空いてきてしまった。オーリチにそう言ったところで何も出してはくれないだろうし、観念して今日は早めに
そうだね、明日はオーリチについて書いてみようかな。
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