僕は飼い猫

一宮琴梨

第1話 僕は猫

 「暗い。眠い。お腹がすいた。」


 あたりは真っ暗だ。もう2日も何も口にしてない。お腹が空いて今にも倒れそうだ。でもここで倒れたりしたら、あの大きくて速い塊に潰されてしまう。早く安全な場所を見つけよう。

 

 そのとき、目の前の大きな大きな箱から光が出てきた。暖かそうだな。

 無意識に吸い寄せられ、その箱の前で寝ることにした。

 

 

目が覚めた時、空は明るくなっていた。ヒゲがピクピクする。明日、大雨が降るかもしれない。早く立ち上がって雨に濡れない場所へ行かないと。


 「あれ?立てない… 」

 「どうしよう。」


 そのとき、視線を感じた。感じた方を見ると、「ニンゲン」という動物がこっちを見ていた。


 「何見てんだよ。そんなに僕の存在がおかしいのか?」


 どれだけ威嚇しても人間たちはどこかに行かない。それどころか、僕に食べ物を差し出してきた。


 別に欲に負けたわけじゃない。生きるためだ。少しだけ食べさせてもらおう。

 「ニンゲン」に近寄ったとき、僕に網がかぶせられた。


 「だ、騙したにゃあ〜!」

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