第38話  許さん!

庭に毎年杏の花が咲く


つぼみを見つけては「あぁ春が来る」と嬉しかったものだ。


杏は、娘が無事生まれてくれた記念樹

大きくなる杏の樹を見るのは感慨深い。



夏になると、ひまわりに似た花が一斉に咲く。

名前は分からないままだけど


この花は息子が小さい頃、プレゼントしてくれたものが、どんどん増えた。

お花を私に渡す時の、息子の嬉しそうな顔まで、はっきりと思い出す。


息子の反抗期も、この花に支えられた。


ある日


夫が杏の樹を伐採し


舅が息子との思い出の花を、根こそぎ掘り起こして捨てた。


「何でこんなことを!」

と怒りをぶつけると


夫「邪魔だと思ったから」

舅「わりいな」


あんた達二人とも許さん!


この話

以前から夫に

庭の花が邪魔と言われていた。


私が出掛けた隙に

「居ない間に切っちまえばいい」と


これが私の夫。

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