031.勝つために手段は選ばない
悪逆非道な魔王が人界へ攻めてきて、魔族は男老人は皆殺し、建物は全て破壊し、美女・美少女は年齢関係なくさらっていった。
国は強き者たちを招集し、勇者を魔族との対決へと送り込んだ。
戦いは熾烈を極め、なんとか他の魔族を倒し、残るは魔王のみとなったときには、それまでの戦いで傷ついた勇者たちはもはや虫の息であった。
「勇者よ、お前の力はその程度か。
ならば逝くが良い」
「ふっ甘いな魔王よ!
最後の手段を食らえ!
出でよ!」
「召喚魔法だと!?一体何を……」
勇者が魔力全てを使った召喚魔法を起動させ、光が収まった時、そこには三人の魔族がいた。
「お前なにをやってるんだい!」
「か、母ちゃん……?」
「人様に迷惑をかけるような、そんな子に育てた覚えはないよ!さっさと帰ってきな!」
人類側の先制攻撃!
「あなた、良い加減にしてください」
「嫁……?」
「家にずっと帰ってこず、仕事仕事と言いながら、やっていることは美女を召し上げることですか。
わたくしは実家に帰らせていただきます」
「ま、待ってくれ!愛しているのはお前だけなんだ!」
息もつかせぬ連続攻撃!
「パパ……」
「娘!!」
「最低。気持ち悪いから近づかないで。(血生)臭いし」
「!!!」
クリティカルヒット!
「お前……母ちゃんたちにチクったのか……」
「この前倒した四天王が色々と口を滑らせたし、古今東西母と嫁と娘に男は弱いと決まってる。
我が国の精鋭の美形を取り揃えて魔太后様と魔妃様と魔王女様を接待させていただき、お三方は人間との講和をお約束くださった」
「正々堂々と戦え!勇者じゃないのかお前は!」
「勇者が正当な手段をとらなければいけないと誰が決めた!
勝てば良いんだ、勝てば!」
表情だけみれば勇者の方がよっぽど悪であった。
「お前」
「あなた」
「パパ」
「「「より人間の男の人の方が素敵だもの。
もう人間には手出ししないように」」」
「はい……」
こうして人類の危機は去った。
人々は勇者……ではなく接待した美形たちを讃え、後世に
「男をやり込めるなら母と嫁と娘を味方につけろ」
ということを語り継いだという。
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