真実

 クラスの子が 緑黄色社会のCDを、

 コートのポケットに入れる時に、

 たまたま私と目が合った。


 その子は出口まで行ってから、

 売り場に引き返して、

 CDをポケットから棚に戻した。


 次の日の教室で、

 その子は私がCDを万引きして、

 出口に行く所を説得して、

 棚に戻させたと、

 声高に話してた。


 クラスではその子の話が真実になる。

 私が弁解すればするほど、

 ニセの物語は強固になる。


 そして私は、

 この犯罪者と言われ、

 男子に腹を蹴られた。


 その痛みだけが真実なんだよ。

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