異世界転生したのでマゾ奴隷になる

たろ太郎

第1話



 どうも、マゾ奴隷です。


 SMという概念は近代ヨーロッパで誕生した。偉大なるマゾッホ御大の作品、『毛皮を着たヴィーナス』は発表と共に社会へ凄まじい衝撃を与え、その狂気に満ちた作風はマゾヒズムという概念を一撃で世間に浸透させた。


 では、マゾッホの誕生以前にはそのような人物は存在しなかったのか? それは違う。世界最高峰の権力者かつ変態だったローマのへリオガパルス帝、自分の膣にバナナを入れさせ、夫にそれを食べられていたという与謝野晶子、サドと言いつつ、実は妻から肛門開発を受けていたマルキドサドなど、過去の偉人が実はド変態だったという事例は枚挙にいとまがない。


 人類の歴史を読み解けば、被虐性癖というのは実にありふれた物だとわかる。



 ということで、異世界転生した俺も趣味に生きることにした。



「何か分からんが俺って理不尽に強いし、趣味全振りでも何とかなるだろ」


 チートのおかげで俺は異様に強かったし、転生した異世界は強ければすべてが何とかなる剣と魔法のファンタジー世界だった。


 俺が趣味に没頭する下地は整っていたのだ。


 ……というか、それ以外にやる事が無かった。

 

 娯楽は前世と比べて未発達すぎて見るに堪えないし、料理は美味しくないし、もう人生の楽しみが性欲方面にしか見いだせなかったとも言う。24fpsのアニメーションに慣れきった現代人にとって、シェイクスピアも産まれていない時代の歌劇は退屈に過ぎたのだ。


 どうせだったら理想の女王様と最高のSMプレイがしたいンゴねぇ……。ということで、今の俺は王国騎士団を率いる騎士団長である。どんな相手でも無茶を通せるよう頑張っていたら、いつの間にかこんな事になってしまった。


「王国騎士団の凱旋だ!! クライヒハルト様が来たぞ!」

「どけどけ、クライヒハルト様を一目見させろ!」

「【救国の英雄】!【魔人殺し】のクライヒハルト! 人類最新の英雄だ!」


 という訳で、現在は王都で凱旋パレード真っただ中である。

 何か南の方でワイバーンが異常発生したらしいので、それをパッパと殺してきたのだ。チート戦闘力のお陰で特に苦戦する事も無かったが、英雄の仕事の一つは見栄を張る事なので、こうして王都でパレードをしているのである。


「見ろ、後ろに並んでるのは竜の首じゃないか!? あんなに大量に……! まだ後ろが見えないぞ!」

「すげえ、すげえよクライヒハルト卿!! 王国最強、いや、人類最強の英雄だ!」


「いえーい。英雄だよー。交易路を封鎖してたカス竜どもをブチ殺して帰って来たクライヒハルトさんだよー」


 民衆に適当に手を振り返しながら、やけにデカくて白い馬に乗って王都を闊歩する。どうせこの歓声の中で俺の声が聞こえているはずもないので、言っている内容は適当だ。


「いいぞ……もっと俺を讃えろ……! 俺の社会的地位が高まれば高まるほど、堕ちた時に気持ちいいからな……!」


 周囲の歓声が高まるたび、こんなに強く清廉な騎士団長が実はド変態なのだというギャップを感じて気持ちよくなってしまう。


 マゾと一口にいっても多種多様で、その趣味趣向は多岐に渡る。その中でも俺は、「くっ……誇り高き騎士である私が、こんな屈辱を!」って感じのやつで興奮するタイプだ。国に認められ、民衆に慕われる英雄である俺。そんな俺が惨めに這いつくばり、ご主人様の靴を舐めて媚びへつらう。そういうのが大好きなのだ。


 極限まで高めたヒエラルキーを一気に転げ落ちるときこそ、えも言えぬ快感が俺を襲うのである。


「あああ……興奮してきた……」


 なんだかんだ二週間くらい王国を留守にしていたから、性欲が限界に達しようとしている。道中でそこそこ発散してはいたものの、やはり本命の女王様からのご褒美には代えがたい。


「早くマリー王女に調教していただきたいンゴねぇ……(ニチャァ)」

 

 ご褒美を待ちわびた犬のように、口内が唾液で溢れる。限界までお預けを喰らった俺の口から、よだれと性欲がまろびでているのだ。


 俺の女王様。

 この国の第二王女であるマリー殿下に、早くお目にかかりたいものだ。


「……団長。顔が崩れてきています。早くいつもの英雄ヅラに戻してください」

「あ、マジ? ごめんごめん」


 キリッ! と、白い歯が輝く英雄スマイルを披露する。危ない危ない、外面はちゃんと整えておかないとな。


 俺の隣を馬に乗って歩む凛々しい女性は、ため息をついて俺を睨みつけた。


「はぁ……そんなに姫様のご褒美が待ちきれませんか? この遠征中も私が毎日絞ってやったというのに、信じられない底なしの性欲ですね」

「いやー、君には悪いけど全然違うわ。正直きみ、俺の事怖がってるだろ? そういうのが伝わるとちょっとなあ……」


 ところで。この世界で俺が趣味を追求するにあたって、一つ問題になった事がある。


 俺が強すぎて、虐めてくれる女性に中々巡り合えないのだ。


 高レベル冒険者、あるいは選任騎士の肉体は一般人を遥かに超越する。元の世界で言う「力が強い」「足が速い」とかそういったレベルではない。生物としての格が異なるのだ。ドラゴンや巨人が人間の形を取っているようなものである。一般人が王国騎士の前に立てば、訳の分からない根源的な恐怖で失神するだろう。


 この世界に来た時からそうだったのだ。股間と胸を膨らませて娼館へ行き、嬢に泣かれて出禁を喰らった時のやりきれない思いは今でも思い出せる。

 常識を踏み越えた英雄という名の怪物。それを形の上だけでも責め立てられる分、この女性の精神力も大したものである。


「……気付いていましたか」

「うん。頑張って隠してくれてたとは思うから、そこは本当に申し訳ないんだけども……。やっぱこう、『あ、今おれ怖がらせちゃってるな』って気付くとどうにも性欲100%になれないというか……」

「申し訳ありません、私は【あなたの慰安用】に姫様から遣わされたというのに……」

「いやいやいや! 大丈夫大丈夫、十分気持ちよかったから! ちゃんと女王様だったよ! 靴舐めようか?」

「やめてください、パレード中です」


 小国を素手で解体できる膂力。実力と比例してイカれていく価値観。英雄とは、もはや人間の形をしているだけのバケモノなのだ。


 俺は比較的マトモな方で、他の国には人肉しか食わない食人鬼や、国がスッカラカンになるまで資産を吸い尽くした全身武器商人などの狂人たちばかりが住んでいる。存在自体が英雄へのネガティブキャンペーンのような奴らだ。


 正直言って、俺だって相手の立場だったらこんな仕事イヤである。吐息一つで自分を殺せる相手を、散々に罵倒して虐めなければならないのだ。その心労も窺い知れるという物だろう。いつもありがとうございます。特別手当が出てるって聞くからそれで許してね。


「あー、早く会いたいなあ~~~~」


 そして。


 そういうの全部ぶっちぎって俺を躾けてくれるから、マリー様は素晴らしいのだ。


 虐め方も俺のツボを押さえてるし、あと俺の事を本気で見下してくれるのがイイ。王女の権限もフルに使って野外プレイとかもしてくれるし。


「ニチャァ……」

「団長。顔、顔」

「あっ、ごめんごめん」


 国民の歓声に笑顔で応えながら、俺はご主人様との逢瀬を妄想するのだった。













 クライヒハルトが帰って来た。

 どう見積もっても三か月はかかるだろうと思って任せたワイバーン討伐の任務を、わずか半月で終わらせて帰って来た。


「クソが!!!!!!!!!!!!!」


 南の平野に竜被害の報告が出たのは、数か月前の事である。ワイバーンを見たという報告がギルドに届けられたのだ。それも一匹ではなく、を見たと。これを担当した受付嬢が有能だったことが、今回の被害を大きく抑えた一因だろう。結成されたギルドの調査隊が、渓谷に数十匹と飛び回るワイバーンの群れを発見したのだ。


 彼らは完全に人間をエサとして学習しており、南の交易路は彼らにとってエサがよく通る狩り場だった。一匹ですら村を滅ぼせる竜の群れを前にして、物流は完全に凍結された。ここを通りたがる商人が著しく減少したのだ。南の平野から王都へ小麦を届けるバイパスが使用不能になったのだ、その影響は計り知れない。直ちに、王国最高の英雄であるクライヒハルトの出陣が決定された。


 けたたましく鳴るのファンファーレ、豪華に彩られた出陣のパレード……。既に影響が出始めた食糧難に喘ぐ王都の民は、祈るような気持ちで英雄を見つめていた。



 そして英雄はたった一人で渓谷に突撃し、群れ全部を一人でブチ殺して一瞬で帰って来た。

 


 『最初は包囲網を敷いてゆっくりやる予定だったけど、こっちの方が早かったから』とは本人の弁である。ほとんど移動時間しかかかっていない、瞬速の勝利であった。

 彼が率いて行った王国軍は治安維持という重要な役目があり、それがこんなにも早く戻って来た事は王都の治安にとって非常にありがたい。またクライヒハルトが単身で攻略したため、犠牲が最小限で済んだのも素晴らしい事である。


「クソ!!!!!!!!!!!!!!」


 だがここに一人、その知らせを聞いて荒れる人物がいた。

 表向きは完璧英雄であるクライヒハルトが忠誠を誓う第二王女、マリー・エクセルシア……つまり、この私である。


「あのクソマゾ、どう考えてもご褒美欲しさに暴走しやがった! どんだけマゾなんだよ! 死ね!」


 王国最高の英雄、クライヒハルト。

 ()男、クライヒハルト。


「志望理由が気色悪すぎるわ! ふつう給料条件とか待遇とか、もっと気にする所色々あるだろ! 頭に性欲しか詰まって無いのか!?」


 王国の英雄クライヒハルト。性格は清廉潔白にして騎士道に忠実、お伽噺から飛び出てきた勇者のように、非の打ち所がない完璧な男。


 しかし、私は奴の本当の姿を知っている。神がうっかり脳と下半身を入れ違えた男。『被虐趣味』という言葉に手と脚が生えて生まれた男。血液の代わりに精子が流れ、息の代わりに淫語を吐く全身性欲人間。



 クライヒハルトとは、世界最強のマゾ野郎なのだ。



「うう……せめて恩賞を受け取ってくれ……『マリー様に仕えるだけで幸せなのです』って言ってぜんぶ王家に捧げないでくれ……」


 胃が痛い。

 

 私だって小さい頃は、『私の事が大好きで、言う事を全部聞いてくれる理想の王子様』を妄想したりした。女の子らしい、可愛い願いではないか。


 それが今やこのザマである。私の調教が大好きで、(性欲を満たしているかぎり)言う事を聞いてくれるマゾ奴隷が手に入った。願いは最低の形で叶ったのだ。どういうことなんだよ。


 私がいつも胃を痛めている事を、周りの貴族共は誰も知らない。『民が王家に仕えるのは当然だろう』と思考停止して、この歪さに気づけていない。


 「だれか気付けよ……! 御恩と奉公の関係が成り立っていないんだぞ。アイツは私にしか執着していないんだぞ。クライヒハルトは土地も従う民も持っていない。明日にだってこの国を出奔できるんだぞ……!」


 あのマゾはいわば、趣味でこの国に仕えているのだ。理想の女王様である私に従う『プレイ』の、ほんの一環として王国騎士を務めているのだ。


 ヤバすぎる。

 現在彼がこの国に仕えている理由は、ひとえに私のマゾ奴隷として虐められたいから。王国の権威も名声も関係ない、たったそれだけ。


 これが一体どれだけ危機的な事なのか、想像できるだろうか。


「あああ……クソ、もう必死になって調教のレパートリーを絞り出す生活は嫌だ……! せめて一ヵ月くらい休めるかと期待してたのに……!」


 もし、私の調教に奴が少しでも不満を抱いたら。または、私以上のご主人様を奴が見つけたら。


 『女王様サイコー!! って事で、明日からぼくこの国の人の犬になります! ワンワン! あ、もちろん今後は王国と敵同士になるからよろしくね!』


 この程度の事は平気で起きる。そういう奴なのだ。性欲最優先のクソマゾ男なのだ、クライヒハルトは。


「私、サディストでも何でもないのに……! ちょっと人より冷たい顔つきしてるだけの、ただの一般王女なのに……!!」


 吐きそう。

 大袈裟でもなんでもなく、私のマゾ調教の腕前にこの国の未来がかかっている。

 別に私、サディストでも何でもないのに。ただちょっと顔立ちが冷たくて、女王様っぽい顔をしてるってだけなのに。


「伝令! さっさとアイツのを呼べ! どういうプレイを望んでいたか把握するぞ!」


 遠征に行くクライヒハルトには、いつも私の従者を一人選んでつけてある。今回は「冷酷な女軍人系のクールな金髪美女」を望んでいそうだったので、その条件にあう従者を選んでムリヤリ従軍させた。彼女から遠征中どういう会話をしたか聞き出し、どういうご褒美にするかを決めなくてはならない。


「クソ……なんでアイツはあんなクソマゾなんだ……。いや、他の国よりはまだマシなんだろうけど……!」


 人格と実力のあまりの解離に神を呪う。だが、彼がどうしようもないマゾだったからこそ今の王国の発展があるとも言える。その全てのしわ寄せが私に来ている事を除けば、確かに世界最高峰の英雄なのだ、あの男は。


「マリー様! 従者のイザベラが到着いたしました!」

「すぐ通せ!」


 やって来た私の従者を対面に座らせ、ヒアリングを開始する。

 クライヒハルトの調教は毎日苦労するが、特に大変なのが彼が大仕事を成し遂げた後の調教だ。奴の功績に少しでも見合う特別なご褒美をやらなくては、奴のモチベーション管理が難しくなる。


「うむ、うむ……。なるほど。出発前は女学生モノの春本を読んでいて……その中でも露出が多いもの……。道中の射精量は? ……やや少ないな、少し気分と違ったのか?」


 私には、なんとなくそいつが望んでいることが分かる能力がある。


 異能者というわけではない。話していると何となく勘のようなものが働き、そいつの欲しいものが浮かんでくるのだ。


 奴が遠征に行く前は、確かに『クールな女軍人部下との上下関係逆転プレイ ~ハードに屈服させられて快楽拷問~』系を望んでいたと思ったのだが、その後で気分が変わったのだろうか。道中の射精量が少ないという事と合わせ、今回のご褒美への期待は奴の中で相当に高まっていると考えられる。クソが。


「ちょっと待て、少し考える……。やはり、金髪という部分は間違えていないはずだ。恐らく出発前、近頃出てきた『ギャル』物を見た結果として、奴の性欲がそちらへ引っ張られたのだろう」


 王国が運営する学院の生徒の中に、制服を着崩して遊ぶ女学生たちがいる事は把握している。確か奴がそれを見て「ギャルだ! 異世界にもギャルがいたんだ!!」と喜んでいたため、その呼び名が定着していた。


 となると、女軍人の苛烈な責めは奴の気分から少し外れていただろう。JK(これも奴が言っていた)ギャルに遊び半分で弄ばれたり、クスクス笑われながら責められたい気分になっていると推測できる。


 ……我ながら、真剣な顔で何を考えているんだ。

 歴史と権威あるシグルド王国、その第2王女の姿か? これが……。生き恥すぎるだろ。だが、私以外に適任がいないので仕方がない。やるしか無いのだ。


「……『劇団』を呼べ。服装も指定する。王立学院の制服を着崩して、スカートを短くしてくるように。団員の中でも金髪、もしくは長髪の黒髪を寄越すようにしろ」


 まずはこれでギャル要素を確保。だがこれだけではダメだ、あくまで王女である私からのご褒美でなくてはならない。


「……設定も、今考えた。劇団員に伝えろ。……『現在王宮に、王立学園の女生徒たちが職場見学として訪れている。学生の中でも軽薄な一部の女子が、教師の引率を離れて私たちの調教を目撃してしまう。英雄の情けない一面を見た彼女たちは、ニヤニヤ笑いながら英雄のマゾ調教に参加する』……。こういう筋書きだ。禁足事項として、奴を罵倒するような言動は控えろ。必要な時は私が別途その場で指示する。基本は『面白半分で男を弄ぶビッチギャル』として私をサポートしろ」


 よし。


 いやよしじゃないが。何で栄えある王国の第二王女である私が、木っ端の女衒のような真似をせねばならんのだ。これに国の未来がかかっていると考えると本当に泣きたくなってくる。


 とにかくこれで、私からのご褒美+ギャルたちによる集団責めというプランは最低限整った。あとはここから、さらに詰めていく必要があるが……。

 

「よし、ヒアリングを続けるぞ。聖水系の責めに対して反応はどうだった? 寸止めは? 今回お前には東国から取り寄せたバラ鞭を持たせたが、奴は興味を示したか?……」


 泣きそう。


 王家の娘として、どんな苦労でも背負ってみせると思っていた。歴史ある王国の未来のため、民の幸福のためになら何でもできると思っていた。


 でも、流石にこんな方向性の苦労は想定していなかった。想像できたヤツがいたら連れてこいよ。『あなたは将来世界最強のマゾに一目惚れさせて、血反吐はきながら理想の女王様の演技することになりますよ』って言ってみろ。即座に不敬罪で断頭台に送ってやるからよ。


「クライヒハルトはまだパレードの最中だな? よし、全員持ち場につけ。『劇団員』以外……特に、他貴族の間諜は絶対に通すな。あのクソマゾの本性がバレたら王国は終わりだぞ」


 人類最強の英雄、クライヒハルトを召し抱えようとする勢力は多岐にわたる。王国貴族から周辺国家、果ては聖教の大司祭など、奴を狙う勢力は数え切れない。


 もしクライヒハルトがとんでもないマゾだと言うことがバレて。

 更に、私を上回るご主人様がいた場合。


 『ああ^⁠~~~~、長年仕えてた王国裏切るの気持ち良すぎる~~~~~~♡ 裏切り者の汚名を着せられてみんなから罵倒されるのサイコ~~~~~~ッ♡』


 ……こうなる。

 奴のクソマゾっぷりは常にこちらの想像を上回ってくる。この程度の事態は想定しておかなくてはならない。


 つまり私は奴をビシバシ調教して王国の犬として躾けつつ、奴を狙う種々な魔の手から奴を守らなければならないのだ。ついでに王国が笑われないよう、できる限りクライヒハルトの名声を保たなくてはならない。


 しんどすぎる。誰か変わってくれ。


 王国に忠実で、私より調教がうまくて、生物的に格が違うクライヒハルトの前でもビビらない奴~~~~。求人出すから応募してきてくれ~~~~。


 我が王国は超ホワイト♡いつでも君の応募待ってるゾ♡

 空咳をして冷たい声色の調整をしつつ、私は私の上位互換の応募を待ち望むのだった。









 これは、勇者の物語ではない。

 これは、英雄の物語ではない。


 これは、最高の実力と捻じ曲がった性癖を持つ怪物と、それをどうにか御さんとする、彼に振り回される周囲の人々の物語である。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る