第4話 夢の中で

ユウジは夢を見ていた‥。

(5年前の記憶)




鎖に繋がれた体。

隣の部屋からは浜崎あ◯みの曲と、

男の唸り声が聞こえて来る。


母「先生、ユウジの容態は!?」


医師「ええ、非常に珍しい病気。

‘統合感情失調障害’です。

統合失調症とも双極性障害とも言い難い、

あるいは両方の性質を含みます。」


母「突然、自分は神に選ばれたとか、

芸能界で世界を平和にするのが使命なんだ、とか、訳の分からない事を言い始めたんです。

友達も少なくなって‥。

デイケアに行きながらアルバイトさせたのが良くなかったのか。」


医師「所謂、‘操(そう)状態’ですね。

自殺未遂もしています。」


母「自殺未遂!?確かにあの子は親に意志が伝わらない無念からか、川に飛び込んだ事はあります。でも、それ以来、、」


医師「確かにお母さん思いですからね。

大手芸能事務所で使命をやり遂げる事も、

感謝の表明だと言ってましたよ。

でも、入院中にタオルを首に巻かれては・・。」


母「いいえ、ユウジはそんな子じゃありません。何かの間違いです。自殺未遂なんかじゃありません。首にタオルを巻いた位で、注射を打って、鎖に繋ぎ、刑務所みたいなトイレしかないベッドに葬るなんて、あんまりです。」


医師「まぁ、ADHDもありますからね。」


母「とにかく、出してあげて下さい。紙オムツだけの生活なんて、あんまりです。」


医師「ユウジくんの隣の部屋の方はもう1ヶ月繋がれてますよ。」


母「1週間、2週間でも長過ぎます。

やめてあげて‥(涙)」


医師「宗教は趣味ですからね、

ユウジくんのような若い方がハマるべき

世界ではないとわたしは思います。」


-ユウジの物語は、

エチュードが書いている、

実話に基づかれたもの。


今でも多くのスター•シード達が

病気と診断されるスピリチュアルの

現状を知っている。


本音を晒せば、

スピリチュアルは、危険なのかも

知れない。


が、伝えたい、

その何かが憑依して、

今も彼は葛藤しながらの闘病生活を送っている。-


・・宗教、スピリチュアル、

雁字搦めの中で、

人が求める‘アイデンティティ’とは

何なのか、

裏側を少し、描いてみた・・

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