香澄無双(何回目か数えてもない)

 はっきり言って、香澄に教えることは一つたりともなかった。


 っていうか、香澄のわからないところが一つもなかった。冷静に考えておかしいが、隼人もおかしいと心の底から思っている。


 逆に隼人はなにもわからなかった。なにもわからなかったのであらゆるところを香澄に質問し、香澄の勉強時間をドレインした。


「ほんとごめん、貴重な勉強時間を……」

「人に教えると自分も効率よく勉強できるらしいし、これは私のためでもあるよ」


 勉強もできて人格もできていて運動もできるので、再三言うが、香澄は最強高校生という認識で間違いない。


 こんな性格で、なぜ両親と別居したくなったのかはわからないが、そういう微かな欠点すら魅力に変わる。香澄すごい。


「卒業したら結婚しよう」


 本心からの隼人の言葉に、香澄はびっくりした。

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