LEVEL.20 ソレの目的は
「何をしようとしてねん、シュヴァート」
「…」
「あ……か、カルマさん!?」
ロゼッタの前に突如としてカルマが立ちダガーでシュヴァートの燃えた大剣を防いでいて、カルマは目を細めながらもシュヴァートの事を鋭い殺気と共に睨んでいた。
「任務から急いで戻ってきてみれば騒がしいし、何事かと思えば……どういう事や、シュヴァート」
「……」
「ロゼッタを傷つけようとするなら、容赦はせーへんぞ」
シュヴァートは燃えた大剣をカルマへと振りかざしたりしながら向かっていくが、カルマは特殊なワイヤーを張り巡らせシュヴァートの動きを制限させていく。
「チッ、流石に“鬼神”相手でも特殊なワイヤーは切れるってか……!」
シュヴァートの腕に巻き付いたワイヤーはシュヴァートの力で千切れてしまい、そんなに長くは制限出来そうにもない。
「カルマさんっ、シュヴァートさんは“何かに憑かれて”います!」
「何やて!?」
カルマはロゼッタの言葉を聞いてシュヴァートが“何かに憑かれている”と知れば、本人の意思が無いなら本気を出すわけにも行かずシュヴァートの動きを止めようとした時だった。
シュヴァートがフラつくと同時に、シュヴァートの中から薄い灰色の何かの2つの手が伸びて出てくるとカルマの頭に触れていた。
「っ!?」
カルマは咄嗟に避けようかと考えたが、後ろにはロゼッタや負傷しているロイドがいる事を思い出しては避けるのを止めた時には、その薄い灰色の2つの手はカルマの中へと入り込んでいた。
「カルマさん!?」
「……」
カルマはユラりと動いては後ろを振り向けばロゼッタを見るが、そのカルマの瞳にはハイライトは無く理性を失ったかのような獣の眼のようになっていた。
「カルマ、てめぇ……何に“呑まれて”んだっ」
「ロイドさん!動いたら、傷がっ」
「ロゼッタ、お前は急いで“警報の鐘”を鳴らしに下の階に行くんだっ!今の俺じゃ、そんなに長くはカルマを押さえつけるのは無理だ……“討伐士”達を呼び戻すしかない」
「っ……わ、わかった」
ロイドはロゼッタが走って立ち去るのを見てから、ロイドは大斧を構え直してはダガーを持って此方へと歩み寄ってくるカルマを軽く睨んでは、姿を消したカルマの動きに察知したかのように手斧でカルマのダガーを防ぐとカルマへと大斧を振り回すが、カルマは軽々と避けてはダガーを逆手で持っては柄でロイドの腹を強く殴る。
「がっ……!?」
ロイドは片膝をついては倒れながらも、カルマの方を見ればロゼッタが走っていった方を見ていてカルマの周辺の影が蠢いてはカルマを包んで“黒い人狼”のような姿へと変われば瞬時に影の中へと消え去る。
「クッソ……がっ」
ロイドが悔しそうな顔をしたと同時に“警報の鐘”が響き渡り、それを聞いてからロイドは意識を手放していた。
少し前にロゼッタは“警報の鐘”がある部屋へと辿り着いては、大きな装置のようなモノを見上げてから“赤色のレバー”を掴んでは引き下げると大きな警報の音が響き渡ると同時に、ギルド国家の上空へと1つの発煙筒が放たれていた。
「こ、これで……いいのかな?」
ロゼッタが少しだけ安心したかのような表情をすると同時に、ロゼッタは後ろに何か気配を感じて振り向けば其処にはカルマが立ってはロゼッタを見下ろしていた。
「カルマ、さん」
「……」
「カルマさん、“呑まれたら駄目です”よっ……ちゃんと、自分の意識を取り返してくださいっ」
カルマはロゼッタを壁に追い詰めたと思えば、ロゼッタを担ぎ上げては窓を蹴り破っては建物の外へと出て別の建物の屋根上へと飛び移りながら、明らかに郊外にある廃墟の建物へと凄い速さで向かっていた。
「っ……」
(これじゃ、ラヴィさん達が間に合わないんじゃっ!?)
ロゼッタはロイドが言っていた通りに“討伐士”の皆が戻ってくるまで時間稼ぎをしないと考えたが、もうカルマは廃墟となった建物の部屋に到着していて少し汚れたソファにロゼッタを投げるとロゼッタに歩み寄る。
「いっ……、か、カルマさんっ?」
「……ロゼッタ」
「!?、正気に戻っ、」
カルマはロゼッタに近寄ったと思えば、ロゼッタをソファに押し倒してはロゼッタの上に跨りロゼッタの両頬を自身の両手で優しく触れる。
「あ、いや、……か、カルマさん??」
「……」
「っ!?」
カルマはロゼッタの唇に自身の唇を重ねては、軽い口付けから段々と深くさせては互いの舌を絡ませていく。
「ふっ、ん……ま、待って、カルマ、さんっ」
【お姉ちゃん、少しだけ身体を借りるね】
「へっ?」
カルマから薄い灰色の2つの手が現れては、その薄い灰色の2つの手がロゼッタを包んだと思えばロゼッタの中へと消え去ると、ロゼッタから離れたカルマの意識も途切れてはソファの側の下で倒れる。
「………」
「ロゼッタちゃん?」
ロゼッタ(?)は起き上がり聞こえた声に反応して振り向けば、其処には急いで此処まで来たと思われるラヴィが立って此方を見ていた。
「…………いや、ロゼッタちゃんではないね?」
「ふふっ、すごいねーおにいさん!」
ロゼッタ(?)は無邪気な表情でラヴィを見ては、両手を広げながらも立ち上がり嬉しそうな表情をしていた。
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