LEVEL.7 謝罪よりも、お礼を




「失礼します」



シュヴァートはドアノブを掴み扉を開けて中に入りシンプルな執務室を軽く見渡すと奥には長机があり、そこの席に座っているのは金色の髪色をした少しハネっ毛のあるショートで、赤色の瞳入をした少しツリ目をしている。

格闘家のような服装をしており、両手には小手を身に着けている男性だ。



「今回も相変わらずの活躍っぷりだねー、カルマくん」


「聞こえました?レヴァンさん」


「うん、ここまで歓声が聞こえたからね」


「ですよねー……」


「それで、キミが此処に来るって事は書類以外の事だね?」


「あ、はい……実は」



シュヴァートはレヴァンに話をすると、レヴァンは少し驚いては困った表情へと変えると椅子の背もたれに寄り掛かる。



「それは、確かに困ったね……ヴェテルさんの娘さんを怪我させてしまったとなると」


「はい……」


「まぁー、ちょっと待って」


「…??」



レヴァンはシュヴァートへと手を向けては、空いている手を自身の顎に手を添えては天井を見たり下を見たりと考えている。



「そうだ!こうしないか?」


「何を?」


「このギルド国家本部に、“道具屋出張所”を作ってヴェテルさんの娘さんに店員さんになってもらう!」


「え!?」


「そうすれば、運搬や商品の確認や管理までの時間を短縮も出来るし」


「まぁ、そうですけど……それで、誤魔化す感じにするんですか?」


「いやいや、そうじゃないよ!?永続的に“お抱えの道具屋”として、此処に迎え入れるって意味だからね!?面倒臭くて、そうしたいってわけじゃないから!」


「あ、はい」


(あの焦りようは、明らかに少しでも過ったんだろうな)



シュヴァートはレヴァンの提案の実行のために、レヴァンの執務室から出ていくと門の所へと急いで向かった。



シュヴァートとレヴァンのやり取りをしてから、あの出来事から3日が経った頃。


ギルド国家内にある医務室のベッドで、ロゼッタは眠っていたが目を覚まして周りを見渡そうと起き上がろうとしたが、胸などに痛みを感じて起き上がるのをやめてベッドに倒れ込む。



「いたたっ……」


「そういえば、おもいっきり蹴られたんだか何だか知らないけど……されたんだっけ?」



ロゼッタは記憶が曖昧で考えるのを止めて目を閉じては、物音がして左方を見れば遮っていたカーテンが開かれると青寄りの黒色の髪色をしたミディアムで少しボサついていて前髪が少し長めにしており、少しハイライト少なめの青色の瞳色をした切れ長な少しタレ目をして目の下には薄っすらと隈がある。

薬剤師用の服を改造して着ながらも、上着には白衣を緩く来ている青年が立ってロゼッタの方を見てから少し驚いた表情をしてから優しく笑みを浮かべていた。



「やぁ、お嬢さん?お目覚めかな?」


「あ、はい」


「全治3週間の怪我をしていたんだけど、特級の傷薬とかを使って全治1週間って所になったかな?あんまり、術式での治療ってのは患者の身体への負担もあるからしたくなくてね~ごめんね?」


「大丈夫です、逆にありがたいと思っているので!」


「ふふっ、なら良かったわ~」


「えっと……?」


「あ、ボク?ボクは、ギルド国家で“医者”のような事をしている“シャルル”ってヤツ」



シャルルは満面な笑みを浮かべてから、ロゼッタのカルテにロゼッタが目を覚ました事を書いたり付属の機械などを確認している。



「うん、バイタルの調子は大丈夫だね~良かった良かった」


「……そういえば、」


「うん?どーした?」


「カルマさんは、どうしてます?」


「あー、カルマ?そうだねー、落ち込んではいるね……自分が怪我させてしまったって」


「……そう、なんですね……やっぱり」



ロゼッタは気絶する瞬間の時に、カルマが泣きそうな困惑したかのような表情をしながらも自分の名前を必死に呼んでいたのは覚えている。


そもそも、“悪意のある霊”によって自分が憑依されて操られた事の結果だ。



(どちらかと言うと、カルマさんのせいではないのに……)


(あんな感じなのに、自己責任感が強くて優しい人………なのかもしれない)



ロゼッタが考え事をしていると、シャルルが微かに微笑んではカーテン外へと視線を向けてみれば入口には困った表情をしているカルマが立っていた。



「あの、もしもカルマさんに会ったら伝えてくれます?」


「ん?何を?」


「カルマさんのせいではないですって、これは……そのー、アタシの体質の問題が起こした事であって、逆にカルマさんに助けられたようなモノなんですよね」


「……だってよ~?だから、そんなに落ち込む必要ないってさ」


「へ???」



シャルルはロゼッタの話を聞きながらも、カーテンを最大まで開ければ入口の方まで見えるようになり入口で立っているカルマが見えた。



「あ、カルマさん」


「ロゼッタ、その、……………ごめん、怪我させてしもうて……あ、あのな!怪我、させたくなかったんよっ」


「はい、カルマさんは優しい人なんだって分かってますよ」


「ロゼッタっ……」



ロゼッタが優しく笑みを浮かべて、近寄ってきたカルマの頭を優しく撫でればカルマは涙を流していた。



「頑張った褒美、です!」


「つ~……」


(優しいのは、ロゼッタの方やでっ)








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