大空 2023/12/21

 空を見上げると、月が出ていた。

 まだ太陽の出ている時間なので、お供の星はいない。

 そして太陽は雲に隠れて、お月様は一人ぼっちだ


 だが、そんな事を気にしていないかのように、月は明るく輝いている。

 寂しくないのだろうか。


 俺は寂しい。

 仲の良い友人が、海外に引っ越したのだ。

 いつも当たり前のように隣りにいたアイツがいないと、どこか物足りない。

 親はラインができるでしょと言うけれど、寂しいものは寂しいのだ。


 空を眺めていると、スマホが振動した。

 見ると、海外に引っ越した友人からのメッセージが写真付きで送られてくる。

『見ろよ。月が綺麗だ』

 写真は星と一緒にいる月が写っていた。


 思わず笑ってしまう。

 こんなに離れているのに、同じ月を見ているとは。


 スマホで月を撮って友人に送る。

 すぐに返信が返ってきた。

『日本の月はいいなあ』

 よく言うよ、違いなんてわからないくせに。

 外国に行っても、アイツは変わらないらしい。


 気づけばさっきほど寂しくなかった。

 多分、場所は違っても、同じものを見ていることが分かって安心したんだ。


 俺達は同じ大空の下にいる。

 その当たり前の事が、俺は一人ぼっちじゃないという事を教えてくれる。


 太陽が雲からひょっこり顔を出して、まるで俺の心の中のように、周囲を明るく照らしていくのだった。

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